66 任務開始
その66です。
「よくぞ招待に応じていただいた。心より感謝する」
案内されたのは、豪華絢爛な装飾の施された、いかにもな謁見の間――ではなかった。
確かに大きくて立派なタペストリーなどが飾られているが、応接やら会食のためというよりも、会議室と呼ぶべき佇まいである。
部屋に入った泰地とヴェリヨを出迎えたのがこの国の王であるのは、わざわざ説明されるまでもなく察することができる。ありきたりな表現をすれば、全身から発せられているオーラが凡人とは異なっていた。
「そなたたちの国、ニホンでは身分の差はないそうだな? ならば、この場では私もそれに倣うとしよう」
つまり、堅苦しい挨拶や礼儀作法は無しでいい、ということだろうか?
それは先導してくれた人が許さないのではないか、と泰地は扉の横で控えているラインターナーを盗み見る――が、彼が反応する様子はない。
(礼儀とかにうるさそうに見えたけど、案外フランクな人なのかな?)
『もしくは、この老人の提案かもしれないのだ。こちらの懐に潜り込むための心理作戦というやつなのだ』
首を傾げる泰地に、ぽそりとルデルが精神に直接囁いてきた。
うがち過ぎではないか、とも思えるのだが、表情はもちろん指先すら全く動かさない老人の姿を見ると、あながち間違っているようにも思えなくなってくる。
(……俺の性格、歪み始めてる?)
王様のご登場。
偉い人と話すのは、ひたすら疲れますね




