63 初任務は……
その63です。
基地だか倉庫だかの外へ出てみると、確かに先ほどは無かった「西洋風の城」を簡略化させたアイコンが少し離れた場所に鎮座しているのが確認できた。
いよいよ本当の初仕事か――と考えると気が重くなってくるのは、所詮は普通の高校生である泰地としては当然だろう。
しかも、その内容が「魔王退治」とあっては……
「何を怖気づいているのだ」
頭上からの声が平常運航なのは、分かっていたとはいえイラッとさせられる。
「そりゃ気後れもしますよ。オリンピックで金メダル確実くらいの底上げしかされてないのに、いきなり魔王なんてのと戦えって命令されたんですから」
色々と悩みの種は尽きないけれど、泰地にとって最大の懸案事項はこれだ。
自分の身体能力は高くなっているのは、前の廃ビルでの件でうっすら自覚できた。だからといって、それが魔王などと呼ばれている何かを相手に勝利の鍵となる、なんて楽観視できるはずがない。
そして、自分の仕事である以上、先輩であるヴェリヨのサポートを過剰に期待するわけにもいかない。ボスが「この程度ならできる」と判断している以上、最初から助力ありきで臨むのは間違いである。
思考がどんどん暗礁へ向かう少年を、魔王サマは快活に笑い飛ばした。
「心配無用なのだ。ルデルに用意があるのだ」
「……本当ですか?」
「ウム。前のビルの時のような閉鎖空間では無理だったが、今度はドカンとかましてやるのだ」
(……今度も魔城とやらで戦うんですよね?)
本日はここまでです。
次回から本当に、舞台は異世界へ飛びます。
明日も5編、よろしくお願いします




