55 初任務は……
その55です。
……三十段ほど進んだだろうか。
ヴェリヨにはやや窮屈そうな通路の果てに、ようやく薄暗い照明に照らされた扉が姿を現す。
(なんか聞いてもはぐらかされそうだから黙ってたけど、この先に異世界へ続く何かがあるんだろうな。魔方陣? 転送装置? もしかして、扉を開けたら即座に異世界とか――)
刹那、泰地は既視感に襲われた。
いま初めて訪れた場所のはずなのに、覚えが――具体的には扉から漂ってきている空気に肌が粟立ち始めている。
もしや、と身を固くする少年に、雪郷はいつもと変わらない能天気な調子で扉へ手を伸ばした。
「では、我らが地下基地へごあーんなーい♪」
少年の不愉快な感情は、開いたドアの先に広がる風景で一掃された。
しかし、次に胸に去来してきたのは、やっぱり不愉快なそれだった。
感情としては叫びたいのに、どう表現するのが適当かが分からない――そんな彼の肩に、扉の脇にぶら下がるホワイトボードに何かを書き終えた背後の巨漢が優しく手を置く。
「分かるぞ、お前の気持ちは。俺も最初にここを見たときは『ふざけるな!』なんて凡百な感想を言っちまったからな」
「…………自分の感覚がマトモだったことに安心しました」
大きく深く深呼吸をした泰地は、やっとの思いで無難な文句を絞り出した。
三人の眼前にあったのは、ファ○コン時代のド○クエを彷彿とさせる荒いドットのアイコンで構成された奇妙な世界だったからである。




