52 初任務は……
その52です。
「すまん、ボス。俺からも質問があるんだが」
ここまで沈黙を守っていたヴェリヨが軽く右手を上げる。それを受ける雪郷は、まるで教師のような調子で質問を促した。
「今までの話を聞く限り、今回の案件はかなり重要なんじゃないのか? へたすりゃ、そのシャレンジャン王国とかってのが滅んじまうかもしれないってのに、失敗してもオッケーってのはどういうことだ?」
王国の名前を間違えているのは置いといて、その点は泰地にとっても疑問の一つだった。
魔王の討伐なんて、世界の命運を賭けた一大事なのは間違いない。そんな重大な案件を「失敗してもいい簡単な任務」と断じてしまうのは明らかにおかしい。
これに対する回答は、少年の頭上から授けられた。
「何を言っているのだ。得体の知れん相手に頼む仕事なんて決まっているのだ」
巨漢と少年はしばし黙考し――ほぼ同時にひらめきを得る。
「ああ、最初から期待されてないのか」
「そういうことなのだ」
ふふん、と鼻を鳴らす魔王サマ。
得意満面なのはいいのだが、つまるところ魔王であるルデルの実力を侮られていると考えるのが妥当なのだが。
その点を気にしてないとしたら、さすがは魔王サマと称賛するのだけど……。
余所者に重大な仕事を任せるワケがないですよねぇ。
当たり前の話ですけど、当事者的には色々と……まあ。
今日はここまでということで。




