48 初任務は……
その48です。
「そんな感じで、君らはこれからシェビエツァ王国へ行ってもらう」
子供にお使いを頼むような気楽な口調だが、その「お使い」の内容は子供に頼むようなお手軽な難易度じゃない。仕事のやり過ぎで感覚がマヒしてるのか、と泰地は疑いたくなってきた。
しかし、ボスの心配なんてムダをするよりも、気になる点がいくつかある。取るものとりあえず、それらをきちんと説明してもらわなければならない。
「すみません。質問なんですが」
「どうぞどうぞ。あっちに行ってからじゃ答えられんからね」
「そもそもこれって、公安の仕事なんですか? 防衛省とか外務省とかが適任なんじゃないですか?」
「うん。さすがにツッコんでくるとは思ってた」
結論から言えば、「異世界が実在すると知っているのは、政府でもごく一部に限られており、異世界絡みの問題はぶっちゃけ公安ウン課に丸投げ状態だから」だそうだ。
そんな乱暴な――と少年は呆れるが、事情は何となく推測できる。
秘密は少人数に止めておかなければ意味がない。子供も大人も、秘密を万人と共有したがる性癖の持ち主は一定数いるものなのである。
「それだけじゃないがな。まあ、軽く説明しとくか」
雪郷はシナモンスティックをかじりつつ、表面的には面倒そうに口を開いた――が、明らかに話したくて仕方ないのが態度でバレバレだった。
唐突に雪郷先生による「授業」が始まってしまいました。




