45 初任務は……
その45です。
さてと、と社長室から紙の束を持ってきた雪郷が、ちらりとマエカケさんを盗み見て……諦めたように応接セットの椅子に座る。泰地とヴェリヨは長椅子だ。
「少し間が空いちまってすまんね。調整とか折衝とかがちょっと面倒だったからなぁ」
ぱらぱらと資料をめくる雪郷。そのうちの数枚を引き抜くと、泰地へ差し出す。
「まあ、本格的な仕事の一発目だから、比較的ラクなのにしたから安心してくれ」
「比較的ラク――って、そんなに仕事が多いんですか?」
「ぶっちゃけた話をすると、ルデル様に頼りたい案件がけっこうある。で、今回はその中でも、こういっちゃアレだけど、失敗してもさして問題が無さげなもんだ」
(あ、やっぱり魔王サマ頼りなわけね)
普通の高校生に仕事を任せるわけがないと分かっていても、はっきり言明されると落胆してしまう。
それはともかく「失敗してもいい」とはどういう話だ、と泰地は渡された紙に視線を落とした。
「えーっと……シェビエツァ王国? ヨーロッパの国ですか?」
「異世界ってやつだ。いま、若い人たちの間で流行ってるだろ? 異世界転生とかって」
少年はボスの顔をまじまじと凝視し、相手がふざけてないのを察して、資料に目を戻す。
資料には長々と文章が書き連なっているのだが、目が滑って彼の頭には入ってこない。けれど、地図らしきイラストを見た瞬間に「ああ、本当なんか」と諦めの境地に達した。
やっと異世界の話ができそうです。
展開の遅さはどうにかしたいのですが……




