42 初任務は……
その42です。
「そかそか。クラスの連中は親睦会か」
オート三輪を運転するヴェリヨが、特に興味もなさそうに呟く。話した泰地としても、共感して欲しかったわけではないのでリアクションはしない。
だが、続く言葉は少し予想外だった。
「まあ、俺が言うのもなんだが、学生生活を気ままに楽しめないってのは申し訳ないと思ってる。バイトだったら最悪バックレるって手段もあるけど、一応は公務員だからなぁ」
相変わらず時速五十キロ運転でゆったりハンドルを握っている巨漢の横顔に、泰地は――改めて「騙されてはいけない」と肝に銘じる。
(そうだよ。悪いと思ってるなら、土曜の朝七時半なんて時間に迎えに来るかよ。普通に俺をネタにして楽しんでるに決まってる)
僻みがないかと言えば嘘になるが、魔王サマ強制の朝のラジオ体操を終わらせ、貧相ながらも待ちに待った朝食中に最中にチャイムを鳴らされては、恨み事のひとつも出てくるというものだ。
なぜこんな早朝からと尋ねてみたら、彼はこう答えた。
「けっこう美味いと思ったラーメン屋が朝ラーやってるって話だったからな。知ってるか、朝ラー? 静岡県の藤枝あたりじゃ常識らしいぞ」
朝からラーメンなんて食えんわ、と心中でツッコむのが、少年に許された抵抗だった。
やっとキーワードに挙げた「異世界転移」に入れそうです。
なるべく早くキーワード詐欺から脱出したいです。




