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35 学校生活の始まり

その35です。

「ルデルも好奇の目に毎度毎度さらされるのは好きではないのだ。せめて昼食くらいは落ち着いて摂りたいから、こうして周囲の認識を歪ませて誰も気にしないようにしているのだ」


 魔王サマの説明は、イロハには抽象的過ぎて微妙に理解できないが、「ルデル様が人払いしてくれてるんだ」と簡潔に納得した。そのすっきりした割り切り方が、泰地には非常に羨ましい。


 落ち着いて考えるまでもなく、人間の認識や感覚を歪ませるなんて恐ろしい話だ。頭の中を無遠慮かつ恣意的にいじられているようなものである。加えて、それに誰も言及しようという発想が浮かばないのも徹底し過ぎと言える。



 もっとも、その辺に頓着しないから「魔王」なのだろうけれど……。



「でも、あたしも入っちゃっていいんですか?」


「心配無用なのだ。ルデルのくらの同級生を放っておけない上に、イロハが辟易していたのは、ルデルも人間だった頃に似たような経験があったから一目瞭然なのだ」


「まあ、長谷野がこの場にいる時点で遠慮は無用ということで」


 泰地の適当な混ぜ返しに、長谷野が怒りの抗議を始める。


「あのさ。俺だって心静かに本読みながらメシ食いたいんだよ。でも、他のクラスの女の子とかが話しかけてくるんだよ。で、俺が読んでる本を見たら……」



 長谷野がかざした文庫本の表紙に「美人教師」の文字をイロハは確認したが、直後に泰地の無言の手刀によって叩き落とされていた。


官能小説のタイトルを眺めて笑いがこみ上げてくるのは、


おっさん化している証左なのでしょうか?

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