31 学校生活の始まり
その31です。
「ンむ」
懐に入れてあった携帯端末のバイブに、泰地は変な声を出してしまった。
取り出したそれは、あの警察手帳代わりの端末である。とはいえ、(ボス曰く)仮採用の現時点では警察手帳としての機能は封じてあり、今はただの携帯電話だ。
警察専用の端末とはいえ、外見は一般のスマートフォンと大差ないし、ケースを付けていれば完全に見分けはつかない。そういう意味では、身分バレの心配はしなくていいのでありがたい。
現在、長谷野を含めた五人でラーメン屋に来ているのだが、四人の相手は頭の上の魔王サマがしてくれている(物凄く問題だが)ので、何があったのか確認してみる。
「…………」
「どうしたのだ? 明日の牛乳なら冷蔵庫に確保してあるのだ」
「いや、朝起きてラジオ体操して牛乳飲むのは魔王サマだけでしょう。俺を巻き込まないでください。ともかく、そうじゃなくて」
先程の振動はメールの着信だった。送り主はボスこと雪郷であり、内容は以下のとおり。
「お前さんの初仕事は現在調整中。今の調子でいければ今週の土曜になると思うから、それまでは出勤の必要なし。輝ける青春を楽しんでくれたまへ。つか、今日は来客があるから、遊びに来ても相手できないよん」
非常に腹立たしい文面である。もし親からこんなメールが送られてきたら、殴りはしないが軽蔑の眼差しは向けるだろう。
しかし、週末が仕事で潰れると知らされると、暗澹たる気分にならざるを得ない。
せめて高校生活最初の土日は遊んで過ごしたかった――と考えてしまうのは、泰地がワガママだからではないはず、と思いたい。
「ふむ、週末は仕事が入ったのだ。まあ、一人暮らしの代償というものなのだ」
刹那、野郎四人の目の色が変わった。その豹変ぶりを見れば、イヤでも彼らが何を考えているかを予測できる。
つまり「よっしゃ、オトコの秘密基地が確保できたぞ」である。
一人暮らしの友人の家に集まって徹夜で遊ぶのはよくある話ですね
男だらけのクリスマスパーティーも楽しいもんです(……)




