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28 学校生活の始まり

その28です。

 イロハ嬢へ皐会からの誘いが来たことを驚く者はいなかった。


 というか、イロハ嬢が本当に皐会とは無関係で北南校に入学してきたことに驚く者が大半だった。



 先の説明のとおり、「皐会」とは北南校のステータスを高めるために結成されたセレブ集団である。学校自体の歴史の浅さと、何より大人の思惑が大きく絡んでおり、けっこう手段を選んでいない――なんて噂もあったりする。


「しかも、山井って言ったら、多分あのヤマイだろ? やべぇ、俺にとっては神も同然だ……」


「へ? ヤマイって、あの楽器とかオートバイとかのヤマイだよな? 長谷野って楽器とかバイクとかやってたっけ?」


「俺、最近はエロ小説をシンガロイドに読ませるのを日課にしてるんだよ。どんな卑猥で恥ずかしいセリフでも感情たっぷりに読んでくれるから最高だよな」


 日本が世界に誇る音声合成技術を無駄に活用しやがって、と泰地は項垂れる。


「いや、もちろんわざと機械的に喋らせたり、羞恥プレイっぽく読ませるのも可能だぞ? ちょっとテクニックが必要だけど、師匠と呼べる人がいてさぁ……」


 なお語り続ける友人を無視して、泰地は人だかりの方へ注意を戻す。



 山井嶺華と名乗った彼女は――正直な感想を述べてしまうと、金髪と改造制服以外はあまり特徴がない。普通の顔に普通のボディライン、声も印象的ではない。本当に、金髪と改造制服がなかったら、いまイロハ嬢を囲んでいる生徒たちに紛れているレベルだ。



 そんな山井嬢は、なにやら長口上を終えたようで、背筋を伸ばして軽く呼吸を整えている。右隣に控えていた双子の片方がハンカチを、左に控えていたもう一方が小さな水筒にストローを挿しながら差し出す。


 周囲の生徒たちは(やっぱりそういう関係なんだ)と(ハンカチはともかく水筒はどこから出た?)という、納得と疑問の狭間で揺れ動く羽目に陥った。


ボー〇ロイドをこういう使い方してる人もいるんでしょうか?

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