24 学校生活の始まり
その24です。
アルビノ、高身長、美形と三種の神器を揃えた長谷野は、先のイロハ嬢とは違う意味で注目を受ける。もちろん恋愛方面で、だ。
「趣味は読書です」
色白で病弱そうな少年が、木漏れ日の下で静かに詩集を読む――そんな妄想が浮かんでくる。泰地が女子生徒だったら、胸の高鳴りを抑えきれなかったかもしれない。
けれど、そこはスクールカーストで高くない位置にいた泰地の友人である。どうしようもないオチが待ち受けているのが定石というものだ。
「好きな作家は、伽藍輝先生や蜂春一先生などです」
挙げられた名前に、クラスメイトたちは首を傾げる。聞いたことがない名前だからだ。
でもまあ、世にうつろう流行など追わず、無名でも自分の好きな作家を探し出すというのは、ティーンエイジャーとしては妙にカッコよく感じるものである。
無論、これはまだオチではない。
「一番好きなのは、もちろん伽藍先生畢生の名作『清純女学園凌辱』シリーズ。他の作家だと『淫らな蜜壺二十九歳 指ほぐし』とか『常夏メス堕ちアイランド 母娘丼に姉妹丼なんてダメだよぅ……』なんかが、最近読んだ中ではなかなか面白かったですね」
ぶうっ、と先生方が鼻水を噴く。生徒たち――特に女子は凍ったように硬直していた。
唯一の例外である泰地は「せめて書名はボカせよ」と諦めモードに入っている。
そう。長谷野は一般には「官能小説」というジャンルでくくられる書物を耽溺しているのだ。しかも、その嗜好を隠す気が皆無だというのも性質が悪い。加えて、気に入った本は男女問わず薦めてくるから救いようがない。
「最近はラノベでもかなり直接的なエロを書いてくるのがあるけど、やっぱ本物は違うぜ? 文章だけで性的興奮を喚起させようと切磋琢磨している作家の方々の血と汗の結晶に、俺は……俺はッ!」
中学卒業後、何度か一緒に遊びに行ったことがあるが、モ○バーガーでこんな少年の主張を大声で聞かされた身としては、高校生活初日ですら我慢ができないのかよ、とツッコみたくなる。
前にも書きましたが、長谷野氏は私の友人がモデルです。
これでもマイルドに直した方なんです。




