17 学校生活の始まり
その17です。
つづがなく入学式は終わり、新入生たちはめいめい事前に知らされていた自分の教室に向かう。泰地が在籍することとなったのは一年二組である。
あいうえお順で決められたらしい自分の名札が貼られた座席に座ると、前の席の男子生徒が振り向いた。
「よう。お前らが後ろかよ」
「ああ、長谷野か。お久しぶり」
長谷野愁――中学時代に隣のクラスだった彼は、同じ高校を受験すると知って以来、ちょくちょく遊ぶようになった仲だ。親友とまではいかないが、とりあえず新しい環境に友人知人がいるのはありがたい。
シュウ、なんてカッコいい名前に引きずられたのか、高身長とイケマスクを天から授かっている。しかも、彼はいわゆるアルビノで、肌は透けるように白く茶髪が地毛である。モテ街道の王道を征くと称しても過言ではない。
ただ、いざ面と向かって会話をしてみると色々と残念な部分が滲み出てくるので、結果的に泰地としては負の感情抜きで話しやすい相手となっている。
軽く世間話でもしようか、と思ったのだが、ちょうど扉を開けて教師が入ってきた。
「おい、先生が来た」
「そっか。じゃ、また後でな。ルデル様、孕石」
やっぱり魔王サマが先か、と小人たる泰地は項垂れた。
いわゆる「主人公の悪友」ポジションの登場です。
作者の学生時代の友人がモデルです(聞いてない)。