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172 タテマエとしがらみ

その172です。

「それでは、今回の会合はこれで終了とする」


 司会役の男が宣言すると同時に、会場の全員――奥墨や雪郷も素早く起立した。



 やっと吊るし上げが終わったなー、などと安穏としていた雪郷としては、最後の最後に「恒例のイベント」が控えていたのを忘れていた失態に落胆してしまう。


 最後のイベントとは、もったいぶっているかのように悠然と一番最後に立ち上がった男――かなり古い作務衣に身を包んだ老人の退場を見守るまでの時間である。


 臨時休憩の際に奥墨が水引代議士へ諭したように、再建議会には序列などないというのが建前になっている。


 会議などの開始時間となったら、たとえ首相が遅刻していても予定に従って到着を待つことなく始まるし、到着しないまま会議が終了しても自己責任ということで文句は言えないし、出させない。




 ところが、この老人だけは別だった。




 彼が出席している場合に限って、なぜか彼が退出していくのを直立不動の姿勢で見送らねばならないのだ。


 これだけでも怪しさ大爆発なのだが、更に不審さを募らせるのが、この老人が一切口を挟まない――より正確には言葉を発したことが一度もない点である。少なくとも、雪郷は何度かこの老人を会議の場などで見ているが、彼の声を聴いた記憶がない。


(なんだろうな、この爺さん。本当にただ座ってるだけで、終始なーんも喋らないって、何のためにいるんだよ。こんな扱いを受けてるってことは、再建会議の設立メンバーとかそんな感じなんだろうけど)


 老人の胡散臭さを最も際立たせているのが、誰も彼の正体どころか名前すら把握してない点だ。古参メンバーであるのは間違いないが、それ以上の情報は出てこない。


 パッと見は、田舎道をボチボチ歩いている普通の爺さんなんだが――と雪郷がちらりと視線を向けた刹那、相手も自分を捉えている事実に気付いた。


前回で本懐は果たしたので、

これからはエピローグみたいな感じです

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