158 魔城へ
その158です。
「こりゃあ、カルスト地形ってやつかぁ」
地面から突き出ている岩肌を触ったヴェリヨの呟きに、泰地は単語の意味のか分からなかった。もちろん、すぐに魔王サマが補足してくれる。
「ものすごく簡単に説明すれば、水に溶けやすい石灰岩などで構成された大地が、雨などで侵食されてできた地形なのだ」
ここから先は、馬や場所では進めないという。というのも、ここから先は無数の陥没孔があって、人の足でも進むのは困難であり、だからこそ自然の塹壕として対魔王の最前基地と想定されているからだ。
ちなみに、この(おそらくは地下水などで穿たれた空洞が地表に露出した)穴はドリーネとかシンクホールなどと呼ばれているらしい。
確かに、ここは前線基地としては有利な地形だ。
伸び放題の雑草のおかげで地形が把握しづらいところに、大量のドリーネが口を開けて待ち構えている。人間同士の戦争ならば、守りやすく攻めづらいことこの上ない理想的な場所である。
(魔物って、空飛んだりとかしないのかな? そういうのは魔法で落とすとか?)
少年が脳内一人ツッコミをしている間に、バイラーたちが馬を近くの木に繋ぎ終えた。先にも書いたが、ここから先は自分の足で進むしかない。
どこまで進むかは……魔王サマ次第なのはわざわざ確認するまでもないだろう。