表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
158/186

155 強行行軍

その155です。

「ここから岬までは、どのくらいなのだ?」


「おおよそで考えると、イツェローまでの約半日に加えて、そこから更に半日ほどになります。しかし、休憩を最低限に抑えて一気に進むのであれば、夕刻前後には到着できるかもしれません」


「ふむ……」


 小さく呟いて考え込むルデルの、その大仰な帽子の脇からはみ出た耳がピコピコと動く。


 その様子は、魔王というより完全に子犬だ。思わず指でつまみたくなってしまうが、ゲアハルトは無謀な性格ではない。



 沈黙すること約十秒で、魔王サマは決断を宣告した。


「とりあえず、行けるところまで一気に進んで、日が傾く前に切り札で一気に終わらせるのだ」


「それなら、ここでその切り札とやらを使えばいいんじゃないんですか?」


 泰地がここで口を挟んだ。散々匂わせていた「切り札」を、なおも出し惜しみする意味が分からないのは当然の話だ。これはゲアハルトも同意である。


 対する魔王サマの返答は、以下のとおりだった。


「向こうの魔王とやらに察知されて、ヘタな策を弄されると面倒なのだ。必要以上に相手を見くびることは、愚行以外の何物でもないのだ。なにより、我がくらの実質的な初陣ならば、失敗で終わるのは忍びないのだ」


 どうやら魔王サマは本気でそう仰っておられる模様。人間二人は驚かざるを得ない。



 ……とはいえ、魔王サマが人間だった頃は、同僚や部下を非常に大切に思っており、自分の成果をホイホイ分配したと記録されているので、この程度は「当たり前当たり前ェ! 常識常識ィ!」なのかもしれないが。


(でも、気前よく分け与えたのって、上司から叱責されるほどのワーカーホリックぶりを誤魔化すためだったのも事実だからなぁ……)


 少年の悩みは尽きることがない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ