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145 強行行軍

その145です。

 面倒事の全てを街の騎士団に押し付けたゲアハルトたちは、夜が明けるのを待たず出立した。街道を進むとはいえ、夜の闇の中を進むのだから、もちろん下策である。


「エックホーフ伯の差し金ならば、こんな危険を冒す必要はないのですが」


 先頭を与るバイラーの口調は苦々しい。とはいえ、彼を含めて他の騎士たちも愚痴どころか欠伸のひとつも漏らさないのはさすだが。


 それに比べて、宿屋での騒動中ひたすら隠れていたカウニッツは、睡魔の誘惑から逃れる努力を強いられている。王族を前にうたた寝などできない。



「でも、こんなに急いで出発する必要はなかったんじゃないですか?」


 泰地が当然の疑問を提示すると、カウニッツが欠伸を噛み殺しながら答えた。


「さっきの暗殺者たちの力量や手際は、大目に見て中くらいでしょう。というか、レベルの高い組織ならば、依頼内容にかかわる全てを洗っておくでしょうし、一国の王子がいると分かれば周到に用意して臨むはずです」


「つまり、さっきの連中は素人に毛が生えた程度だと?」


「そこまで酷くはないでしょうけれど、色々と残念な集団なのは間違いないですね。そして、その程度の連中に依頼するということは――」


「なるほど。この手の荒事にコネがない人間が依頼主ってことか」


「そして、失敗を受けて焦り、後先考えない行動に出て、周囲に被害が及ぶのを懸念して回避行動をせざるを得なくなった――というわけなのだ」


 ルデルとヴェリヨが美味しいところをかっさらっていく。



 要するに、敵が無能だから無茶してくるかもしれないのでトンズラだ、と泰地は大雑把に解釈した。まだ頭が完全に覚醒していない。


(つか、有能な敵の方が安心して行動できるってどうよ?)



「真に恐れるべきは無能な味方であるとか、無能な働き者は殺すしかないとか、勤勉で愚鈍な者は重職から遠ざけねばならないとか、この手の格言は余るほど存在するのだ」



 頭上からのありがたいお言葉に、少年はうへぇと変な呻きを絞り出してしまった。


やっと話が大きく動いてきた気がします。

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