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143 会議はタヌキの集会

その143です。

 ところで、と水引はどこからか取り出した三本の缶コーヒーを、集煙機能を内蔵したテーブルに並べ始める。


 最初に奥墨が、続いて雪郷が手に取り、更に二人が飲み始めるのを待ってから、ようやく水引は最後の缶に手を伸ばした。


「実際のところ、今回の計画はどうなんでしょう。先ほどの場で並べられた意見も、完全な的外れとまでは言えませんし」


「なるほど。つまり、水引先生はこの件に関してあまり乗り気ではない、と」


 雪郷がからかうように尋ねると、水引も「いえいえ」と和やかに受け流す。ここだけ切り取れば、二人が十年来の友人だ見えてしまうだろう。


「私は、成功した場合のメリットや将来性などを勘案すれば、計画を進める以外の選択肢はないと信じていますよ。だからといって、彼らの懸念は判断材料に値しない、などと一蹴できないのも事実ですしね」




 眼前の相手には同調しつつ、この場にいない人間の意見として反対を窺わせ、自分の立場を曖昧に濁らせる。政治家らしいと思わせる会話術だ。もっとも、政治家としてまだ若輩である水引としては止むを得ない話かもしれない。




 益体のない会話に陥りそうになったところで、おもむろに奥墨が加熱式タバコのカートリッジ交換を始めた。


「水引先生。再建議会は、いわゆる権利能力なき社団であって、営利団体ではありません。計画の失敗の責任を負うのは当然ですが、成功しても報酬などは用意されていません。なぜなら、会議が円卓で行われていたように、この団体には序列などないのですから。この認識で間違いありませんな、水引先生」


「……知らず、周囲に流されていました。お恥ずかしい限りです」


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