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12

その12です。

 芸能人が無口で通用するのか、という至極もっともな少年の疑問に、社長はにやりと笑いながら社長室からノートPCを持ち出してくる。


「この前やったライブを録画したやつだ」


 恥ずかしいのだろう、マエカケは掃除道具を抱えて応接セットとは対角の位置へ逃げて行ってしまった。泰地が、少し年上であろう彼女を可愛いとつい思ってしまったのは失礼だろうか。


 それはともかく、PCの画面上に不鮮明でよく分からないが、妙にどぎつい色彩の映像が映し出された。と同時に、いかにもなアイドルの甲高い歌声と、野太い応援が流れ始める。


 なるほど、画面が暗くて不鮮明なのは、いわゆる「地下アイドル」のライブ会場を撮影したものだからなのか――と、泰地は理解できた。落ち着いてじっと凝視すれば、照明に照らされたステージ上で踊っている女の子たちと、その前でサイリウムを手に雄叫びをあげながら踊り狂うファンたちが確認できる。


(この歌ってるグループの誰かがマエカケさんってこと? それにしては、歌の最初から再生しない――つか、もう最後のサビ部分じゃないか?)


 彼の懸念は現実となった。

 再生開始から三十秒もしないうちに歌が終わってしまい、アイドルたちは「みんなありがとー! この後の物販もよろしくねー♪」などと愛想を振りまきながら舞台袖へ引き上げてしまった。


 これからが出番なのか、と泰地はなんとなく姿勢を正す。頭上のルデルも、心なしか身を乗り出したようだ。


 そして、マエカケさんは確かにステージ上に現れた。


 いま部屋の隅を掃除している姿そのままで。


こういう時に限って、おネコ様が遊んでくれと要求してくる……

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