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その11です。
「候補生云々はともかく、芸能事務所ってことは、他にも所属してるタレントさんとかがいるんですか?」
社長室から半ば強制的に追い出された少年の至極当然な質問に、ボスはあからさまに顔を横に向けてしまう。
「ウン。ヒトリイルヨーゥ」
なんで急にカタコトみたいな喋り方になるんだ――なんてことは言わない。これは考えるまでもなくダメな兆候だろう。
もしかして、ヴェリヨがその一人なのかと視線を向けると、当人は苦笑いしながら肩をすくめた。
「おいおい。こんな筋肉ダルマなんかが芸能人ヅラできるかよ。……なんだよ、ホッとしたような顔しやがって」
じゃあ誰が、と尋ねようとしたところで、掃除が終わったらしい先程のメイドさんが、意気揚々と社長室から軽やかに出てきた。
「ほんじゃ紹介しよう。わがUN芸能事務所における現時点での唯一の所属タレント、マエカケさんだ」
「…………」
「いや、ここでも無言ですか?」
今日は活動報告に書いたとおり15まで投下します。
よろしくお願いします。