125 異世界を歩く
その125です。
ヴェリヨも完全に理解しているのではないので曖昧な部分も多いのだが、無理矢理にまとめると大よそ以下のようなまとめとなる。
公安ウン課の仕事の性質上、当たり前だが一日以内で解決しない案件がほとんどである。そして、泰地たちが生活している現代日本の一日と、例えばここシェビエツァ王国の一日が完全に同期しているとは限らない。もしかしたら、シェビエツァ王国の一日は日本の十時間分しかなかったり、逆に五十時間くらいに該当したりするかもしれない。
異世界に一週間ほど滞在して帰ってきたら、日本での時間経過は数時間だったり一年以上だったりするのでは、個人にも組織にも悪影響しか残らなくなってしまう。
更に考えるならば、時が常に未来に進むと誰が決めたのか――なんて話になりかねない。
異世界から戻ってきたら出発前の時刻に戻っていたら?
AグループとBグループが別々の異世界へ出発し、異世界で一週間過ごしたAグループよりも早く異世界で十年も生活したBグループが帰還していたら?
あらゆる生物の無意識の世界である以上、常識やら物理法則が普通に通用すると頭から決めてしまうと危険である。
そこで「天才」は、強引な手段で解決することにした。
それは、あの「地下基地」で異世界へ出発するときはアプリで異世界での到着日時を指定できるようにし、異世界で過ごしている間も時間は常に未来へと進むように設定。なおかつその経過は最長でも八時間以内に留めるようにした上で、利用できるのは一回に一グループのみとする、としたのだ。
分かり難かったらすみません。
私の文書力不足です。