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122 異世界を歩く

その122です。

 予定どおり夕闇が程よく濃くなってきた頃合いに、一行は小高い石壁に囲まれた街の門へ辿り着いた。王都に近いせいもあるのか、控えている門番は重装備で人数も多い。



「止まれ! 身分を証明するものはあるか」



 夜が迫っているので人通りが少ない。そんな時間に訪れる人間を必要以上に警戒するのは当然の成り行きである。


 そこへ、馬から降りたバイラーが懐から取り出した何かを門番の前にかざす。


「近衛第一師団第二連隊長、バイラーである。王命による作戦行動中だ」


「承知しました。どうぞお通りください」


 お約束の「居丈高な下っ端が、相手の身分を知った途端にへりくだってくる」なんて寸劇はなく、門番の態度は堂々としたものだ。これはつまり、組織が高い統率でまとまっているという事実を物語っている。


 うむ、と満足したように頷くバイラーが自分の馬に戻るのを待って、一行はセボルの門をくぐった。


「できれば、昼の騒がしい時の様子も見たかったがなぁ」


 すっかり旅気分のヴェリヨのぼやきに、ゲアハルトとカウニッツは苦笑いを浮かべる。


 魔王サマはもとより、この巨漢の泰然ぶりにも驚くと同時に呆れてしまう。これから向かう魔城の主である魔王との戦いへの恐怖がないのか。というか、そもそも自分が死ぬ可能性を考えてないのか?



 改めてきちんと危機感を説明するべきだろうか――とゲアハルトは考えたが、気楽な二人とは対照的にどんより曇った空気に包まれている泰地を見てしまうと、これ以上追い詰めるべきではないかと思い直してしまう。


(あらゆる意味で大丈夫なのかな、この人たち……)


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