103 帰宅までが宴会です
その103です。
でもまあ、生徒のタイプによって上下に別れたのは、ある意味では正解だった。
下の階ではカラオケやらダーツやらで大いに盛り上がっているが、上の階は比較的静かな時間を過ごしている。長谷野も、青少年の欲望に忠実な連中とグループを作り、それぞれの性癖などを公開し合って別の意味で盛り上がっていた。
「文字だけでエロを感じるって、俺にはちょっと……」
「それは違うよ。エロのツボは人それぞれだし、エロの表現に貴賤はないんだよ」
「じ、じゃあ、四十路の熟女にエロスを感じてもいいんだよな?」
「当たり前じゃないか。他人に強要しなければ、何だって許される。ロリでもショタでもペドでもホモでも触手でも虫でもゾンビでも死体でも」
「おおおおおお……」
なんだか、半分宗教の説法じみた雰囲気になっている。長谷野を拝み倒す勢いだ。
この異様な空気に、長谷野の外見目当てに接近を狙った女生徒数名も完全にドン引きモードで退避していた。
てっきり「河居いろはを囲む会」状態になると思っていたのだが、普通にクラスの親睦会となっている。みんな心の中では、河居いろはをダシにして新たな人間関係の構築を狙っていたのだろう。
「別に無理にエロと関連させる必要はないんだよ。そんな無駄な努力をしていたら、かえってエロが嫌いになっちまうだろ。感じるままに行動すればいいと思うよ」
「だよな! 天然系お嬢様に男としての尊厳が崩壊するほど罵られて生活全般を徹底管理されるってシチュエーションにピンと来なくても問題ないんだよな!」
……誰も「それ、前提が極端すぎて同意しかねるな」とは指摘できなかった。
長谷野君にはモデルがいます。
私ではありません。