102 帰宅までが宴会です
その102です。
長谷野愁は、有意義な時間を満喫していた。
というか、この場にいたほぼ全員が楽しんでいるのは間違いない。
豊浜都立浜松浜北南高校一年二組が週末に親睦会を実施するというトピックは、予期できない規模の影響を及ぼした。あの河居いろはが参加すると聞いて、他クラスからも参加の打診が来たのである。
数人の追加ならばまだしも、数十人単位とあっては看過できない。ただでさえ、一年二組からの参加者約三十人(バイトや部活などで十人ほど脱落)を収容できる会場を確保するのもままならない状況だったのだ。
幹事たちは、最初は迷っていたものの、最終的には「一年二組以外の人間は完全排除」と決定した。もちろん、他クラスからの非難の声は大きかったが、そもそもの名目はクラスの親睦会なのだから、今回は遠慮しろと突っぱねた。
その後も、なんとかして参加したいと考える輩が様々な手段を弄して探りを入れてきたが、幹事たちがギリギリまで会場をクラスメイトにすら明かさない等の念入りに情報操作を徹底していたため、現時点では部外者の飛び入り参加などはなく、実に安穏としている。
自分の与り知らぬところで余計な手間をかけさせていたことに驚いたいろはが、幹事たちに土下座しかねない勢いで謝っていたが、当の本人たちはやりきった満足感に満たされた微笑みで返していたのが印象的だった。
難航していた会場に関しては、幹事の一人の従兄弟が旧浜松市の中心部である中区田町でショットバーを経営しており、普段は営業してない昼間の時間帯に使わせてもらうことで解決している。
メゾネットタイプでそれなりに広いのだけど、やはり約三十人入るには少々手狭なのは否めない。ぶっちゃけた話をすれば、いわゆるリア充組やいろはを囲みたい連中が下の階を占拠しているのが現状だったりする。
今回から新展開です。