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ブリッサの懇願

俺も龍の師匠欲しい

「私も…一緒に連れて行って!」

「ブリッサ!?」

「ぬ?」


すごい形相で我にしがみついて懇願されておる。我の人生の中でこんな懇願は初めてじゃ。

…命乞いはたくさんあったがのう。


「ブリッサ。良いのか?我は龍だぞ?住処はここから遠く離れた【混沌の山】じゃ。我も用がなければここまではそうそう来ない。友や家族に会えんぞ?」

「私に…家族はいません」


どうやらブリッサの親は去年、流行病で死んでしまったらしい。幼い頃からギルドでの修行ばかりしていて友達もいないと言っている。


「そうか…お主も厄介な運命なのじゃな」

「私は…師匠や、カルマ君がいなくなったらまた一人です。もう独りぼっちは嫌なんです!」


トマスを見るとボロボロ涙を流していた。感動するのも分かるけど…。


「バル爺…俺からも頼むよ」

「………覚悟はあるようじゃな。よし、決めた!ブリッサ!お主は今から正式に我の家族にする!」

「へ?」


家族の契約を行う。誓いの言葉を言い、ブリッサもそれを承諾する。


「これでお前は弟子であり、娘だ」

「ベンダバル様…」

「バル爺でよい。家族なんじゃからのう」

「…!はいっ!」


ブリッサは笑顔に涙を加え、我に抱きついた。

色々と問題はあるが、これから解決して行くとしよう。時間はある。


「それではな。トマス」

「ベンダバル様もお気をつけて!」


トマスが旅立つブリッサに様々な荷物を与えてくれた。主に生活に必要な物とお金だ。


「【混沌の山】に戻るとするか」

「たった半日いなかっただけなのになんだかすごく長く感じたよ!」


カルマが元気良く騒ぐ。落ちるから大人しくしておれ。


「初めて行きます。楽しみです」


期待してるところ悪いんじゃが…何も無いぞ?

さらに2時間程飛び、【混沌の山】に着く。


「…ここが…」

「ようこそ。我が領域へ」

「宝物以外本当に何も無いんですね」

「うむ。まずは…ブリッサよ。徐々に結界を弱めていく。高い魔力に慣れるのじゃ」


そうしなければ我と共になど暮らせないからな。


「…」

「気分が悪くなったら言いなさい」

「だい…じょぶです」


少しずつ、ブリッサの結界内の周りの濃度が上がっていく。今の濃度は、魔力で育つ植物を植えたら2秒で生えてくるくらい濃い。


え?分かりにくい?そこは…お主の想像力じゃろ。

なんとかせい。


「カルマ、お主はその間に【原初の森】の設定をするのじゃ」

「なんで?」

「最初から説明するとな…」


自分が主となった領域内にはユニットを生み出す【巣】を作ることが出来る。


そういえば先ほどの【蜘蛛】のボスも同じことをしていたな。まぁ、あやつは生み出される魔物を全て蜘蛛にしていたが…。


【巣】から生み出されるモンスターは主と同じレベルまで召喚できる。


もちろん制限はあり、強いやつほど生み出せる数は少ない。


それに、強すぎるフィールドを作っても意味がないのだ。領域に冒険者が来て、倒した時に落とす経験値が重要なのだ。


ほどほどにしないと冒険者(金づる)がうるさいからな…。


教えるとカルマが色々と考え込んでいた。


「うーん…やっぱり森だからな…」

「まぁ、どの様なフィールドにするかはカルマの自由じゃ」


フィールド相続の期限もあと4時間ある。それまでに決めればよい。


「さてさて。ブリッサ?どうじゃ?」

「もう、かなり慣れました」

「うむ。ほとんど結界も張っていないようなものじゃ。耐性を得たかステータスを確認するとよい」


名前:ブリッサ

種族:人

年齢:17

所属:【ベンダバル家】

レベル:21


体力:120

魔力:180

攻撃力:70

防御力:85

俊敏力:70


称号:【子】【Cランク冒険者】


加護:【大地の精霊の加護】


スキル:【魔力操作】【中級魔法(自然)】

【初級ナイフ術】【魔力感知】【高魔力耐性】



【魔力操作】自分の体の中にある魔力を操作できる。


【中級魔法(自然)】自然の中級魔法を扱える。


【初級ナイフ術】ナイフの扱いが少し上手くなる。


【魔力感知】自分の体の外にある魔力を感知することができる。ただし扱うことはできない。


【高魔力耐性】高い魔力の空間の中でも、普段通り行動できる。


中々便利な能力を持っておるのう。加護もついておるし、有望株じゃったろうに…。

我なんかについてきて良かったんじゃろうか?


「バル爺…様」

「様も付けんでいいぞ」

「いえ、これはいいんです!」

「そ、そうか。して?何用じゃ?」

「ここに住む必要あるの?」


…なぬ?


「どういう事じゃ?」

「何も無いし、暇だし、修行するにしても…いろんな街を回った方が…楽しくないですか?」

「…」


たしかにそれは面白そうじゃ。話を途中で聞いていたカルマも目を輝かせておる。

しかし…


「我は…人間の世界をよく知らん。それに…この姿では街に入る度に兵士に囲まれてしまう」

「バル爺!俺こんな事出来るぜ!」


するとカルマがいきなりシャシャリ出て来よった。


「うぉぉぉ!変!身!」

「ぬ?」


見る見る体が変わっていく。ただの雫型のスライムだったカルマが、16,17歳ほどの若い男になりおった。ぬぬぬ…悔しいがイケメンの類だ。


「どうだ!これが俺の新しいスキル、【変身】だ!」

「いつの間にそんな技を…我は出来なそうじゃな…」


自在に姿形を変えられるスライムだからの技じゃな。我も何か似たような事は出来ないかのう?


………!


「ふっふっふっ。甘いなカルマ。我だって似たような事を思いついたぞ」

「何!?」

「その名も…【龍人化】じゃ!」


人間の体を強くイメージし、自分の大きな体を小さくするような感じで力を圧縮していく。


「おおお!!」


シュウウウウウ…


慣れていないから多くのエネルギーを消費してしまったわい。見よ、目に見えるほどの濃い魔力が白い煙のように辺りを覆ってしまった。


「くくく…我も人間の体を得たようじゃ!どうじゃ?ブリッサ、カルマ!」

「ゲホッ、ゲホッ…あれ?その姿…」


どうした?ブリッサ。かっこよすぎて声も出ないか?


「流石バル爺!名前通りの老人になったね!」


カルマ…どういう事じゃ?


ブリッサに手鏡を貸してもらい姿を確認する。

ぬうう…達人のような雰囲気で強そうだが、白髪の老人になってしまったようじゃ。


ぐぬぬ…仕方ない。この姿はこの姿で、まあまあカッコいいから諦めよう。

イメージとしては【転生したら○○○○だった件】のハク○ウさんですね。あのキャラ大好きなんすよ。

まあ、性格とか中身が違いすぎるけどね。

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