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始まりの街に龍が出た!

ゲームの敗北イベントみたいだな。この題名

「「「きゃーーーー!!!」」」

「うわっ!ど、ど、ドラゴン!」


「…ぬう?何故騒ぎに…」

「俺らは分かりきってたけどね」

「無謀」


スライムと少女に怒られる。これでは我の威厳がゼロではないか。え?元から無いって?失礼だな。


…そんなことより何でこんな事になったか?それは…少し時間を巻き戻す必要があるのう。


1時間ほど前の事じゃ。


「【始まりの街】?近くの街の名前か?」

「そう。私は中堅くらいの冒険者。今回は森の調査の依頼を受けて来てたの」

「ほぉ…」


確かに、我のような強さなら眼中にすらなくとも、駆け出しの冒険者達にとっては【蜘蛛】の長は強すぎる相手だな。依頼が出るのも無理はない。


「それで来たけど…」

「私たちにも手に負えない相手だったから…逃げ出したわけよ」

「ブリッサ、お主一人を置いて逃げるとは情けないパーティーよのう」

「今回は急ぎの依頼だったから即席のパーティーだったの」


それで簡単に見捨てるという行動に至ったのか。


「まぁ、とりあえずお主の無事を知らせねばこの森に不要な強者が集まってしまう。どれ、【始まりの街】とやらに行くか」

「大丈夫なのバル爺?」


カルマがとても不安そうな顔を向けておるな。どうしたのじゃ?人間は弱いから大丈夫だぞ?


「カルマ、今のお主なら大丈夫じゃ。臆することはない。堂々としておれ」

「「そういうことじゃないとおも」」

「しつこいぞ。大丈夫と言ったら大丈夫じゃ!行くぞ!背中に乗れい!」


まったく、心配性じゃな。

背中にブリッサとカルマが乗ったのを確認し、街へと向かう。


軽く飛んで10分ほどだろうか。街に着いた。

城門で審査を受けねば入れないと聞いて街の少し外に降り立ったのだ。


そして場面は冒頭の部分へと繋がっていくのじゃ。


「まったく。こういう事が起きるなら先に言うべきじゃろうに、カルマ」

「俺らは言おうとしたのに遮ったバル爺が悪い」

「最悪の場合ここで戦争」

「戦争にはならん。虐殺というやつじゃろう。いや、やらんぞ?面倒じゃ」

「とりあえずバル爺は黙っててね」


こめかみ(と思われる場所)に怒りマークを浮かべてカルマが我にそう言った。

反抗期というやつか?


そうこうしてる内に城門の兵士がやってきた。


「おい!そこの魔物!この街を滅ぼしに来たのか!」

「いや、違いますよ」

「す、スライムが喋った!?ただのスライムではないな!正体を見せろ!」

「いや、スライムなんですけど」

「嘘をつくな!」


全然話を聞いてもらえぬ。この兵士に耳はあるのか?


「ダメだ。ごめんブリッサ、彼らに説明してくれ」

「分かった」


背中からブリッサが降りて行く。


「あのー、この龍とスライムはですね…」

「人に化けたか!俺の目は騙せないぞ!女の姿なら気を許すとでも思ったか!浅知恵だな!」

「……」


これにはブリッサも顔を赤くして怒っておった。そりゃそうじゃろう。


「話を聞いてくれる人を呼んでもらえませんか?」

「ええい!しつこいぞ!10数える間に立ち去れ!さもなければ総攻撃を仕掛けるからな!ひとーつ!!」


馬鹿みたいにでかい声で数を数え始めた。


「ブリッサよ。こちらに来い」


巻き添えを食らいたくなければな。

察したのか脱兎の如く我の背中に乗った。


「お主ら、耳を塞いでおれよ」

「「?」」


スゥゥゥゥウ…



【ギャォォォォォォ!!!!!!】



別に技などではない。ただの大声。そこの馬鹿兵士と同じことをしたまでだ。

下の兵士だけでなく、背中に乗っていた二人も気絶してしまった。

やりすぎたが、我の予想ではこれでお偉いさんが来るはずじゃ。


おお、来おったわい。


「…あ、あ、【暴風龍】様、ほほ、ほほほ、本日はど、どのような…ご用件で?」

「ぬ?やっと話を聞いてくれる人物が来てくれたか。いや、そこの兵士が馬鹿でな。話を聞いてくれなかったから偉い者を呼んだだけよ」


下で寝ている馬鹿兵士を指差す。


「さ、左様でございますか…申し訳ございませんでした。わ、私はこの街のギルドマスター、トマスでございます」


中々に筋肉のついた30代後半の男が出てきた。


「【暴風龍】ベンダバルだ…今背中で寝ておるが、息子の【スライム】のカルマ。そして、森で保護したブリッサという少女がいる」

「ブリッサ!無事なのですか!?」

「ああ。ちーっと待ってくれんか?」

「ええ、もちろんです。その間に詳しい話を…」

「うむ」


掻い摘んで事情を説明する。


「それは…ご迷惑をおかけしました。【蜘蛛】族がここまで強くなっているとは思いませんでした」

「次からはこんなことの無いようにな」

「はい。以後気をつけます」

「う…」


背中から呻き声が聞こえる。


「ブリッサ?起きたのか?」

「ベンダバル様?…そうだ!さっきのはひどいですよ!」

「ぬ…すまん。やりすぎたのだ」

「アホですか!」


我にブリッサがアホと言ったのを聞いて面白いくらいにトマスが青ざめていった。


「ああ、こやつは我の弟子にした。なので構わんのだ。気にするな」

「で、弟子!?」

「あ、ギルマス!ただいま!」

「お、おう」

「師匠はすごいんだよ!」


それにしても…ブリッサよ。明るくなりすぎではないか?出会った頃の緊張は何処へ…。


「話は聞いたよ。すまなかったなブリッサ」

「いえいえ!おかげですごい体験になりました!」

「さて、ブリッサは届けたし。我は帰るとするか。おーい、起きろカルマ」

「ん?ああバル爺おはよう」

「お主…気絶じゃなくて寝ておったのか」

「ああ、あんくらいじゃ驚かないよ」


強くなったのう。成長を感じるわい。


「ま、待ってください!」

「ぬ?」

「私も…連れて行ってください!」

「ほぇ?」


ブリッサがとんでもないことを言い出した。

この馬鹿兵士さん。彼の名前はアクオ。この後、とりあえず話を聞いてから物事を考えるようになったそうです。本編には関係ないから気にしなくていいです。

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