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エンカウント、かーらーのー瞬殺!

森を歩くこと10分。我らは大変な事になっていた。


「おえっ…気色悪っ…」

「餌にはしたくないのう」


少し開けた場所に我らはいた。そこまでは普通だ。しかし…周りに目を向けると異様な光景だった。


けむくじゃらな体、無駄に多い足。複数の眼、ベタベタする糸でできた巣。


そう。お分かりいただけただろうか。我らを囲んでいたのは何を隠そう200匹を超える【蜘蛛】。

どうやら森全体が領域テリトリーだったようだ。


「ナニシニキタ…【暴風龍】ヨ」


一際大きな蜘蛛がぎこちない声で人の言葉を喋る。おそらくこいつがこの群れの主。


「我はベンダバル。背中に乗ってるのは息子のカルマだ」

「…【スライム】ガ、ムスコダト?」


そう言うと我の背中に乗る青いぷよぷよを見て鼻で笑いやがった。


「何がおかしい」

「アノ【暴風龍】ガ、ナンノヨウカトオモッタラ…【スライム】のコモリカ。ハジサラシメ」

「貴様こそ200年近く生きていながら片言でしか話せないとは。知能が低いようじゃな?繁殖しか能の無い奴め。たかが昆虫が我が息子を馬鹿にするとは…死に値する」


我は色んな種族と仲良くしたい。喧嘩は嫌いだ。殺し合いはもちろん。しかし…子を馬鹿にされて黙っている親はいない!!


「カルマ…戦意を込めて水を上空に大量に放て」

「ん?やっと出番か。あいつらの話す言葉聞き取りにくくて寝てた」


豪気なやつだ。そんなステータスで200匹に囲まれたら少しは慌てたりすると思うのだが…。


「いくぜ…おらっ!!!」


口…と思わしき場所から大量の水が上空に放たれ辺り一面にばら撒かれる。広範囲に撒かれたようでほとんどの【蜘蛛】たちは戦意の込もった水の攻撃を受けたはずだ。我の推測が正しければダメージが無くとも…


「【スライム】ゴトキガ…コロセ」


指示が出された瞬間、四方八方から飛びかかってくる。恐怖心がないのか躊躇のない攻撃だ。


「だが…遅いのぅ」


水をかぶったのを確認した瞬間、既に魔力を練っていた。スキル【暴風龍】を発動させる。


「ふんっ!!!」


ビュォォォォ!!

という暴風が巻き起こり、半径100m以内の魔物はもちろん、木々や土でさえも上空へと風で斬り刻みながら吹き飛ばす。


「我のスキル【暴風龍】は風に関する事ならイメージ出来ればほぼ全て再現できる」

「ひょえー…すげーな」


辺り一面が更地になるのを見て呆然としている。


「我が息子を馬鹿にしたのだ。これでも緩いわ!」


上空に飛ばされたモノが落ちてくる。全滅したようだ。一匹を除いて。


「グハッ!!」

「まだ生きておったか。老害め」

「ユルサン…ユルサンゾ…ヨクモカゾクヲ…」

「貴様らは我を舐めすぎた。それが敗因だ」

「ていっ!」


推測は正しかったようだ。

先程の【子蜘蛛】達を倒したおかげで攻撃力が上がっていたのか、勢いが増した【水鉄砲】が1だけ残っていた【蜘蛛】の体力を0にした。


《カルマのレベルが上がりました》

《【水鉄砲】のスキルレベルが上がりました》

《カルマが新たな称号を得ました》





蜘蛛たちとの戦闘を終え、少し休む。


「どうだ!少しは強くなっただろ?」


ドヤ顔を決めてステータスを見せつけてくる。



名前:カルマ

種族:スライム

年齢:4時間

所属:【ベンダバル家】

レベル:29


体力:93

魔力:67

攻撃力:71

防御力:93

俊敏力:48


称号:【子】【最弱者】【原初の森の主】

【蜘蛛殺し】


加護:【森の加護】


スキル:【風耐性】【強魔力耐性】【四次元の胃】

【水鉄砲】【スプリンクラー】



「【森の加護】か…これはこの森にいなければ発動しない。あまり有用ではないな」


というかそれよりも…


「…【スプリンクラー】って?さっきのアレか?」

「上に向けて水を出して拡散させたやつだよ」

「そんなスキルまであるのか…」


細かすぎじゃろ…って!?


「な、な、なんでカルマが【原初の森の主】になっとるんじゃぁぁぁ!!!」

「あれ?ホントだ」

「ダメージの9割与えたの我じゃろ!度し難し!」

「そう怒るなよ…俺がワザとやったわけじゃないし」

「ぬ、ぬぅ…」


確かにその通りじゃ。詰めが甘かった我も悪い。

諦めよう。


「さて…そろそろ…ん?」

「バル爺?」


「人間の気配じゃ。近い」


馬鹿なやつらも居なくなったし、何も特に問題は無いのだが、少し気になる。

その場から動く気配も無いのだ。


「カルマ、背中に乗れ」


一応警戒しながら奥へと進んでいく。

そして…ある物を見つけた。


「なんだこれ…巣か?」

「【蜘蛛(馬鹿野郎)】たちの巣だな」


幾重にも糸が張られ、見事な芸術とも言える、完成度の高い巣があった。


「この奥からじゃな…」

「あれ?何かがいるぞ?」


木のうろの中に何かの影が見えた。あれは…


「どうやら探していた人間のようじゃのう」


木のうろの中で、女の子が眠っていた。

蜘蛛の親玉のステータスです。瞬殺されたけど、実は強かったんだよ。


名前:アラーニャ

種族:蜘蛛

年齢:209

所属:【アラーニャの一族】

レベル:81


体力:1375

魔力:170

攻撃力:310

防御力:425

俊敏力:1000


称号:【親】【原初の森の主】


加護:【森の加護】


スキル:【繰糸術】

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