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バル爺は森に狩りをしに、三人はお買い物をしに店へと行きましたとさ

賢王の人間姿は明るい緑色の髪で、ツインテール。眼の色は青。身長は146cm。可愛らしいですね。

「納得いかぬ」

「気にすることでもなかろう。擬人化の時に姿が幼女になるくらい」

「余は賢王だ!威厳も何もないではないか!」


幼女の姿のまま怒っても怖くもなんともないわい。まぁ、我らは元の姿を知っているから特に何もないが、村の住人達は『可愛い』だの『是非養子に…いや、嫁に!』などとほざいておった。

…ちなみに嫁にくれと言ったやつは賢王が魔法で体を半分ほど地面に埋めていた。まあ、そのうち掘り出してもらえるじゃろ。


「とりあえず、食材はベンダバル!お主が狩ってこい!ブリッサとカルマは調味料や道具を買い揃えにいくぞ」

「へいへい」

「分かったわ」

「ぐっ…なぜ我が…」

「飯抜きがいいなら構わんが?」

「…」


大人しく狩りに出た方が良さそうじゃな。


「カルマよ。金は自由に使ってよいからな」

「あいよー」


さて、何を狩るか…やはり肉だろう。


ーーー買い出し組ーーー


「おじ様!そこの野菜を売ってくださいな」


可愛らしい声が店内に響き渡る。店主はカウンターの下にいる可愛らしい女の子の声だと気づき、双眸を崩す。


「お使いかな?お嬢ちゃん偉いねー!」

「あと、そっちとそっちの野菜もたくさんお願いします!旅に出るから!」

「そんなにかい?1人だと運べ…ああ。お兄さんとお姉さんもいるのか。なら大丈夫だな。ちょっと待ってな、裏からもっと持ってくるからよ」


店の裏に店主が野菜を取りに行った。


「あの…ソフィー?」

「…自分が一番気持ち悪く思っておるわ。もちろん余にも考えがあってやっているのだ!誰が好き好んで『おじ様!』なんて言うか!」

「吐き気が軽くしたよ…」

「カルマ、お主覚悟しておれよ…」


先ほどとは打って変わって低い、偉そうな声が聞こえる。もちろん聞こえる範囲に店主はいない。


「ほいよ!じゃがいもを50個、人参を20本、玉ねぎを25個。全部で銀貨1枚と銅貨5枚だ!」

「ブリッサお姉様!お支払いはお願いしますね」

「う、うん。分かった」


お姉様と呼ばれて一瞬ビクッとしたブリッサが支払いを済ませる。


「ああ、ちょっと待った。ほらよ」

「これは…リンゴですか?」

「お使い頑張ってるからな。あげるよ」

「ありがとう!おじ様大好き!」

「ははっ。気をつけて帰りなよー」


デレデレになった店主に手を振り、次の店へと向かう。八百屋が見えなくなった瞬間、


「…疲れた」

「…うぷっ…」

「ぞわっとしましたね…」


自分でもよく分かっているからか、ソフィアが怒ることはなかった。


ーーーベンダバルーーー


「さて、何がいるかのう?」


溜めたオーラを拡散させる。

【サーチ】と呼ばれる魔法では、消費魔力が少なく済むように生体反応のみを読み取るだけなのだが、ベンダバルは【サーチ】を使用したわけではない。

単なるオーラの総量に任せた力技である。


「む?反応があったぞ。これは…珍しいな。【ジュエルサーペント】だ」


【ジュエルサーペント】:宝石のように七色に輝く鱗が物理・魔力のどちらにも高い耐性を持つ大蛇。その肉はかなりの高値で取引されており、鱗だけでなく、肉までもが宝石級の価値を有する。

(もちろんこんな知識はベンダバルには無い)


「こやつは中々美味い。よし、やるか」


今度はオーラを体に纏い、身体能力を向上させる。目標までの距離は1km。

一瞬にして距離を詰め、威嚇で雄叫びを上げる。


突然の龍の出現に一旦驚いたが、強者のプライドが逃走を許さなかった。


「我に敵意を向けられて逃げないとは馬鹿なのか真の強者なのか…」

『シャァァーーー!!!』

「ふんっ。身の程を教えてやるわい!」


ーーー買い出し組ーーー


「道具も揃った。あまり良いものではないがそこは仕方がない」

「バル爺はどんなの狩ってくるかな?」

「きっとかなり強い魔物を狩ってくると思うよ…」

「我を呼んだか?」

「「うわ!」」


ふむ?そんなにびっくりせんでもよかろうに…。


「遅かったな?手こずったのか?」

「たわけ。この我が手こずる相手など世界を見渡しても殆どおらんわ」

「バル爺は何を狩ってきたんだ?」

「これじゃ」


バックの中から蛇を取り出す。バックの中からどう考えても入るはずがない大きさの蛇が出てくる。

それもそのはず。これは混沌の山の宝の中にあったマジックバック(特大)。

大型モンスターでも二、三匹は入るという素晴らしいバックじゃ。


「ほぉ…ジュエルサーペントか」

「知っておるのか?」

「当たり前だ。よし、これであの料理を作れるな」

「さっさと作ってくれよー。そろそろお腹がすいてくるからさー」


カルマが駄々をこね始めた。

ふむ…やはりまだ子供じゃのう?


「おい、ベンダバル。村の外で料理するからそいつをバックにしまえ」

「ここじゃダメなのか?」

「もうすでに目立っているが…あまり目立ちたくない。村の中で料理をしたら目立つことは間違い無いからな」


いったいどんな料理なんじゃ…?なんだか不安になってきたのう。

まさか知識だけは豊富だが、腕前は伴っていないということは…。いやいや、流石にやつは賢王じゃ。大丈夫じゃろう。

はてさてどんな料理になるのやら…

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