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第3話 偶発イベント

昨日は宿屋に泊まっていたので朝食が出たがここは教会の宿泊所だ。昨日買ったサンドイッチを食して好条件の依頼を受けるべくギルドへ向かった。

 

 「―――――い!―――しな!」

 「――――よ。―――す」

 なんだ?ギルドへ向かう途中なのだが何か声がする。ひとつはどすの利いた男の声。もうひとつは少しうわずった女の声がした。

 「こっちか?」

 俺は建物の影で若干暗くなっている細い路地裏を歩いていくと、そこには2人の男が1人の女の子に詰め寄っていた。

 「オイ!ゴラァ!ふざけんじゃねえぞ!」

 「分け前をお前がちょろまかしてんのは明白なんだよ!」

 2人とも身長180越えでスキンヘッドとモヒカンにした、いかにもな男2人が大声で恐喝をしていた。正直言って超怖い。学校のヤンキーにバイト代カツアゲされたことを思い出してしまう。そのせいで俺が昼食の時にクラスメイトのおかずをスティールするという愚行を犯してシバかれたんだからな!今思い出しても悔しい!これ以上俺のような被害者は出したくない!

 「し、知らないのです!私ではないのです!」

 日本人女性の平均身長よりも若干小さいくらいだろうか?年齢が15歳くらいで、肩にかかるくらいの艶々とした黒髪が輝くように靡びいていた。服装は黒を基調とした学校の制服であるブレザーを思わせるような上着に下はミニスカート。細いが決して不健康ではないカモシカのような足にはニーソックスを。一言でいうと可憐な少女だった。そんな彼女は今涙目で彼らに無罪を訴えている。

会話の内容からするとあの女の子があの男たちを騙したのだろうか。それともただの勘違いか。どちらにせよ男2人で女の子を脅すなんて許された行為じゃない。ちびりそうだけど―――

 「おいお前ら!女の子を囲んで脅して恥ずかしくはないのか!」

 俺が突然彼らの背後で叫んだものだから男たちは一瞬動揺したようだが、すぐにさっきの調子を取り戻した。おそらく俺の体格を確認したからだろう。日本人だと平均的な体格の俺だがどう考えてもあいつらには及びそうにもない。

 「おいおい!邪魔するなよなぁア!こいつと刺し違ってしまうぞぉオ!」

 スキンヘッドの男が短剣を舌先で舐めている。何というテンプレ行動だろうか。自分のキャラに徹していて感心してしまう。っていうか短剣とか見えてなかったよ!マジ怖い。

 「た、助けてほしいのです!お願いなのです!」

 だが女の子が泣きながら助けを求めているのに見過ごすわけにはいかない。

 「待ってくれ。こんなところで女の子を脅すなんてクールじゃないだろう。よく話し合うべきだ」

 「あぁ!?お前には関係のない話だろうが!めんどくせえ両方やっちまうぞ!」

 なんて奴らだ。図体の割にダチョウ並みの脳みそしかないのだろうか。話が通じない。っていうか俺ヤバくね!?また死ぬの!?今度もまた転生できるんですか!?

 「コンヒュージョン!!」

 その瞬間紫色の光が2人を襲いフラフラと足元がおぼつかない様子で倒れてしまった。

 「フフフ・・・。この私を脅すとはいい度胸ですね!すぐに起き上がってきます逃げましょう!」

 コンヒュージョンということは混乱系の魔法か?俺は頭の中の英語辞典をしまうと女の子と逃げた。

 「ありがとうなのです。しかし、私一人でもこのような輩など対峙できたのですよ」

 威勢よく彼女は言うが足は震えていた。あっこいつ見栄張ってるな。

  「嘘つくなよ。足が震えているぞ!」

 彼女はビクッと体を震わせて足の震えを止めようとするが全く止まらない。

 「こっ、これはさっきの魔法が暴走したのですよ!」

 彼女が言うような可能性もあるだろうが、この様子だとおそらく無いな。っていうか俺こんなにも可愛い子とナチュラルに話すことができるなんてな。この世界に来る前の俺だったら緊張して「アッアッアッ」とよくわからない鳴き声を出していたことだろう。俺はいつの間にか異世界モノ主人公としての洗礼を受けていたようだ。

 「私は全く怖くなかったのですよ!!!」

 「はいはい、わかったよ。これからは気を付けるんだぞ」

 一件落着と思って本来の目的であるギルドへ行こうと思ったのだが、女の子が俺の服を掴んできた。

 「そ、その、魔法の影響で動けないのでギルドまで連れて行ってほしいのです」

 なんだろうこの子は。素直ではないけれど、こんな子から上目遣いで頼み事をされてしまうと何でも言うことを聞いてしまう気がした。


 「ほら着いたぞ」

 「ありがとうなのです」

 それにしてもさっきの件はどちらが悪かったのだろうか。

 「なあ、どうしてお前はあの二人に脅されていたんだ?」

 「パーティー募集の張り紙をみたのであの2人とラビリンスに潜ったのです。ラビリンスを出た後に戦利品を分けたのですが、適当な難癖をつけてきて私の分け前を寄こせと言ってきたのです!」

 おっと、またもや聞きなれない単語が出てきたな。しかし俺は知っているぞ。ラビリンスはギリシャ神話にでてくる迷宮のことだ。おそらくダンジョン的なものだろう。彼女が言うことが本当ならばやはりあいつらが悪党というわけか。

 「そうか今度は気を付けるんだぞ。じゃあな」

 依頼を受けるべく掲示板に行こうとしたが、女の子が服を掴んできた。あれ?なんだろうなこのデジャブ感。

 「待ってください。私の名前はノエル。冒険者なのです。あなたの名前を教えてほしいのです」

 おっ、同じ冒険者か。もしかしたら有益な情報が得られるかもしれないな。パーティーとかラビリンスとか気になるし。俺は女の子に突っかかることにした。

 「俺は拓海。一昨日冒険者になったばかりなんだ」

 「タクミですか。よい名だと思います。これも何かの縁でしょう。パーティーを組みませんか?私が手ほどきをしてあげるのです!」

 俺が慣れない単語に戸惑っていることを察してくれたのだろうかノエルと名乗る少女は自信ありげにパーティーに誘ってくれた。

 「本当か?それならよろしく頼むよノエル。じゃあラビリンスとパーティーについて教えてくれよ」

 「まっかせなさーいなのです!タクミ!」

 と元気よくノエルは応えてくれた。

 

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