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69話 霊園の歌姫30

銀は装甲態へと変身し、リチュオルもモグラの怪物へと変身し両者共に本領発揮という状態だった。


「ねぇそこの女の子2人、悪いけど眠ってる人達を安全な場所に運んでくれない?」


そんな時、銀装甲態は辺りに散らばって倒れている女性達に攻撃が当たらない様、胡桃とリコに一カ所に集める様お願いした。


「え? あ、はい……」


胡桃は指名された事に驚きながらも確かに一般人である女性達を安全な場所で寝かせなければと思って立ち上がり、リコも同じ気持ちで胡桃の後に続いた。


「そんな暇は与えねぇよ! 地面を泥化させてやる!」


リチュオルは胡桃達の行動を妨害しようと地面の泥化を始めようとするが、銀装甲態は右手の剣を地面に突きつけオーラを送った。

すると辺りの地形が歪み、銀装甲態、リチュオル、英夜、ジルの4人が結界の中に入った。


「これは!?」


結界を初めて見たジルは驚く。


「結界か、だがお前は随分と簡単に入ったな。」


一方の英夜は以前ニュームーンの結界に入った時は手間のかかる下準備が必要だったため簡単に結界へと移動した銀装甲態に唖然とした。


「私のオーラは特異でね、自力で結界に入れるのさ。」


銀装甲態は自分は人間でありながら結界へ行き来できる特異体質なのだと英夜に説明した。


「突然現れての不意打ちといい……味な真似をしおって、このクソアマが―――――――――!!」


リチュオルは先程から優勢な態度を取っている銀装甲態に激怒し、高く飛び上がって襲って来る。

銀装甲態は剣で応戦し、リチュオルに回転斬りをお見舞いした。


「オリャオリャオリャオリャオリャオリャオリャ!!」


弾き飛ばされるリチュオルに銀装甲態は更にキックの連打で追撃をした。

攻撃を散々喰らったリチュオルは地面に腹を向け倒れた。


「オ……オヨォ……こんな奴に……!」


リチュオルは負けてたまるかと言わんばかりに体制を立て直す。

銀装甲態は両手に持っている剣にオーラを送り、やがて剣から赤い竜巻が発生した。


「とどめと行くか!!」


銀装甲態は2つの竜巻を肥大化させ、リチュオルに目がけて解き放った。

しかしリチュオルは間一髪で地中に潜り、攻撃を回避した。


「あいつもそう簡単にくたばる奴じゃないか……それじゃあそこのお2人さん、悪魔退治に協力してもらうよ!」


銀装甲態はリチュオルがそこそこ歯ごたえの有りそうな敵だと思いながら、先程から戦いを眺めていた英夜とジルに協力を呼びかけた。


「OK、とっとと仕事を片付けようぜ!」

「敵の泥化能力に対抗できるのは私ですし、頑張ります!」


英夜はノリノリで銀装甲態に加勢しようと考え、ジルもリチュオルの能力に対抗できる関係上、気合を入れて戦おうと決意した。









ロンリネスはビルの屋上を跡にして服屋に入っていた。


(ハルカが退院した時、どんな服をプレゼントしたらいいだろう……)


ハルカが退院できる日は間近まで迫っていたのだ。

その時の為にハルカには可愛い服を着て街を歩いて貰いたいと思っていたのだった。

服を探している最中、ロンリネスは棚に並べられて売られている香水を見かける。


(香水かぁ……)


するとロンリネスは今年の8月下旬に見た出来事を思い出す。








☆☆☆








ある日の喫茶店でロンリネスは1人で紅茶を飲んで寛いでいた。

するとふと後ろの席で2人の少女が会話をしているのが耳に入った。

ロンリネスがこっそりと後ろを振り向くと、そこには黒髪のロングヘアの少女と茶髪の右側に髪を束ねたサイドテールの少女が席に座っていた。

どちらも高校生位で、夏用の制服を着ていたため学校帰りに喫茶店に寄ったのだとロンリネスは想像した。


「先輩、これ。」


サイドテールの少女は先輩と呼んだロングヘアの少女に赤い液体の香水を差し出した。

ロンリネスはその光景をもっと眺めていたいと思いながらも、視線を感づかれたら面倒だと思って2人の少女から視線を反らした。


「香水? どうしたの、いきなりこんな物プレゼントするなんて。」


黒髪の少女は香水を差し出された事に戸惑っていた。


「この間の弓道の試合で優勝しましたよね、だから何かプレゼントしたくて……」


サイドテールの少女は少しおどおどとした様子で香水をプレゼントした理由を語る。

それを盗み聞きしていたロンリネスは黒髪の少女は弓道部所属で、何らかの理由で後輩であるサイドテールの少女と仲良くなっているのだと予想した。


「でも香水付けて学校に通う訳にもいかないし……」


「分かってます、これはあくまでプライベート用です、今度の日曜日に一緒の香水を付けてデート出来たらいいなって……」


黒髪の少女は校則もあってか香水を使う事に抵抗を抱くが、サイドテールの少女は休日に使えば問題ないと解決策を出した。


「確かにそうね、有り難く貰っておくわ……貴女はチアリーディング部で、弓道にチアって合わないから私達は張り合わないと思っていたけど、こうして付き合ってみると部活なんて関係ないなぁってつくづく思うわ、趣味も似ているし。」


黒髪の少女はふと自分達が一緒に何の部活に所属しているかは関係ないという想いをはせて紅茶を一啜りした。


「私も、部活で応援するのは野球部とかサッカー部とかだけど、例え同性でも先輩が一番格好いいなと思います、これからも普通の観客としてですが先輩の試合を応援します!」


サイドテールの少女はチアリーディング部として弓道の試合を応援する事は難しいが、これからも1人の恋人として応援していきたいという意思を示した。

一連の少女達の会話を盗み聞きしていたロンリネスは、自分は訳ありで学校生活から離脱した身であるため、幸せそうに学校生活を送って恋人同士付き合っている2人の少女が羨ましく感じた。

その後ロンリネスは店を出て道端のベンチでスマホをいじっていたが、その時も向かいの歩道で先程の少女2人が向かいの歩道の停留所で仲良く話している姿を目撃した。

黒髪の少女の方は会話を聞く限りでは弓道部で、部活では露出しないであろう細い腕や脚が逆に色っぽく感じて見惚れそうになったが、自分は部外者だからと言い聞かせて視線をスマホに戻したのだった。








☆☆☆








(あの百合ップルは今でも付き合っているのかしら? ま、私にはどうでもいい事ね……でも私も香水をハルカにプレゼントするのも悪くないかも……)


ロンリネスは過去に見かけたサイドテールの少女の様に、自分もハルカに香水をプレゼントしてみようかと考えた。

同時に、自分も幸せな学校生活を送れていたらどうなっていたのであろうかという考えも過った。

その事もあってか、先程の屋上での出来事も脳裏にリピートされた。








☆☆☆








ロンリネスが1人で屋上の空気を感じていた時に現れた人物、それは銀だった。


「君は、水前寺の従妹……でいいんだよね?」


銀はロンリネスの前に姿を現して早々、美森との血縁関係を確認した。


「ええ、それで貴女は?」

「蓑丸銀だ、水前寺のオーラナイトの師匠って所かな。」


ロンリネスは見知らぬ人物である銀に警戒をして名前を尋ね、銀は気楽な様子で自己紹介をした。


「あいつの師匠? それはまぁ、美森がお世話になった事で。」


ロンリネスは銀が美森の師匠である事に半信半疑ではあったが、取りあえず挨拶を返した。


「君の叔母さんであるモニカから君の事は伺ってる、君が波乱に満ちた人生を送っていた事も……」

「ふーん……それで、私に会いに来た用件は?」


銀はモニカからロンリネスの事を聞かされており、彼女を哀れんだ表情になって、一方のロンリネスは銀がモニカの名前を口にした事から美森の師匠というのは本当なのだろうと思いながら自分の元を訪ねた理由を伺った。


「君にも幸福を届けたい……から会ってみたかったのかな? 君が過去の傷に悩まされているのだったら私が力になりたい、水前寺をそうした様にね。」


銀は美森を師として支えた事もあってか、その従妹であるロンリネスの力にもなれないかと思って彼女の元へやって来た様だった。


「私の? うーん……私のねぇ……学校生活が上手く行かず、結果学校から逃げて今はフリーで悪魔退治をやってる身だけど、突然現れた人の助けを借りるってのも抵抗が有るかも……」


銀から心の支えになりたいと申しだされたロンリネスは自分の過去を振り返った。

転校して新しく入ったクラスでは人見知りであまり周りに溶け込めず、運動も苦手だったためいじめっ子達に早々目を付けられた。

こんな気の弱い性格じゃいじめられても仕方ないと思った時もあれば道を歩いていて別の学校の制服の少女達が楽しそうに会話をしているのを見て自分とは何が違うのだろう、自分の何処がいけなかったのだろうと葛藤する時もあった。

普通に考えれば自分という弱者を苦しめて優越感に浸るいじめっ子達が悪いと思いながらも、いじめに遭う自分も運が悪いと諦めてしまう時もあった。

そんな過去を振り返りながら、自分の味方をしてくれる銀には有り難い気持ちがあったが、やはりいじめによる心の傷から素直に人を信用出来ず警戒心を滾らせてしまっていた。


「やっぱりすぐにっていうのは無理だよね、でも一応電話番号の交換はしてもいい? ゆっくりでいいから話し合おう。」

「まぁ、それ位なら別にいいけど……」


銀は取りあえずまた話し合いが出来る様に電話番号の交換を提案し、ロンリネスはこの程度であればやてもいいと了承した。


「今日の所はこれだけ言っておく、幸せは待つ物じゃなく、無理やりにでも自分の手で掴み取る物だって。」


銀はスマホを取り出しながら、ロンリネスに一言助言をした。









☆☆☆









屋上での銀とのやり取りを回想したロンリネスは軽く深呼吸をした。


「確かに……私って幸せを待ってる節があったかも……」


ロンリネスは銀の言葉が深く突き刺さったらしく、美森もいい師匠を持ったなと思いながら独り言を呟く。

そして今自分が掴める幸せと言えばハルカと一緒にいる時間を作る事かなと思いながら再び服選びに専念した。

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