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66話 霊園の歌姫27

英夜装甲態と胡桃はリチュオルの能力の術中にハマり、身体が地面に沈んでいた。


「こうなったら本体を直接叩かなきゃ!」


地面に沈む2人を見たリコは助けようとしたら自分も巻き込まれる、だとしたら本体であるリチュオルを直接攻撃して能力を無力化させるしかないと考え、高くジャンプして空中から剣で攻撃しようとした。

するとリチュオルの周りの地面が盛り上がり、リコの攻撃を防いでしまう。


「泥化させるだけじゃねぇ、土を鋼鉄の様に固くしてシールドを作る事だって出来るんだぜ!」


リチュオルは得意気な様子で自分の能力の応用性をリコに語った。

攻撃を防がれたリコは悔しげな表情でバックステップをする。


「さーて、どう対抗す……ぐおっ!?」


シールドを解いたリチュオルは英夜達を挑発しようとするが、その時に弾丸が3発程命中した。

何が起きたと驚くリチュオルだったが、すぐに胡桃が自分に銃を発砲した様子が目に見えた。

リチュオルがダメージを負った事で能力の効力も弱まったのか、英夜装甲態と胡桃は地面へと這い上がった。


「確かに能力は脅威だけど肝心のあんたは自分に慢心しやすい様ね、シールドを解いた瞬間を狙って攻撃したわ!」


胡桃は追い込まれている状況の最中で必死に思考を張り巡らせ、リチュオルがシールドを解いた瞬間が攻撃のチャンスだと考えたのだった。


「俺とした事が……今の攻撃はちょっと効いたわ。」


リチュオルはモーニングスターの鉄球を地上に戻しながら、今受けた攻撃の借りを返さねばと考える。


「戦闘態勢は立て直せたが、まだ奴の能力を完全に攻略出来てねぇ、どうする!?」


英夜装甲態はダメージは与えられたが、肝心のリチュオルの地面を泥化させる能力を攻略しておらず追いつめられた気持ちになっていた。


「その通り、まだ俺に勝算はあるぜ!!」


リチュオルはまだ自分の方が有利だと宣言した後、モーニングスターを振り回して地面を削った。

すると削られた地面が細長い矢の形となって宙に上がり、英夜装甲態達の方へ落下した。


「ちっ……本当応用性が高いぜ!」


英夜装甲態は降り注いでくる矢を薙刀で弾きながら、リチュオルの能力の厄介さに毒づく。


「よーし、また地面を泥化させるぞ!」


リチュオルは焦っている英夜装甲態達を愉快に感じながら再び地面にモーニングスターの鉄球を潜らせ泥化を開始した。

英夜装甲態、胡桃、リコの3人は泥化した地面に取り込まれてしまう。


「あいつの弱点が思い浮かばない、どうしよう!?」


胡桃はリチュオルの能力の弱点が未だに思い浮かばずこのままやられてしまうのかと思ってしまう。

その時だった。


「うおよ―――――!?」


リチュオルの足元からオーラの鮫が現れ、彼の下半身に嚙みついた。

鮫の上に乗っていたのは当然ジルだった。


「ジル!?」


突然のジルの助太刀に英夜装甲態は驚く。


「な……なんだってんだよ!?」


リチュオルは自分を噛み砕こうとするオーラの鮫に必死で抵抗しながら困惑する。


「地面を泥化させるという事は地面に水分が多量に含まれてる事になります、私の鮫なら泥化した地面を自在に泳げると予想しました!」


ジルは自分の能力であればリチュオルに対抗できそうだと考え、泥化した地中を潜ってリチュオルに接近したのだった。

ジルはオーラの鮫にリチュオルを加えさせたまま、縦横無尽に地面を泳ぎ回る。


「ひぃぃぃぃぃぃぃ!! こいつ、放しやがれ!!」


リチュオルは下半身を噛みちぎられる激痛とオーラの鮫が泳ぐスピードに苦しみながらも必死に抵抗しようとする。


「そうか! ジルさんの鮫なら泥化した地中で泳ぎ回れる! あいつの泥化能力は逆に鮫が泳げるフィールドを作っちゃうからね!」


胡桃はジルの能力の特性を思い出し、リチュオルの能力はジルが操るオーラの鮫と相性が最悪だと気付いた。

オーラの鮫はある程度泳ぎ回った後、リチュオルを空き地の策に投げつけた。


「ぐはっ!!」


リチュオルに直撃した策は大きく凹んだ。


「あのジルって人、良い能力手に入れたじゃない!」


リコはオデイシアスに無理矢理オーラ使いにさせられたジルの能力が同胞であるリチュオルを苦戦させる形になった事を皮肉に思いながらジルを頼もしく感じた。


「畜生……オデイシアスの野郎、いらん奴をオーラ使いにしやがって……」


リチュオルは立ち上がりながらジルをオーラ使いにしたオデイシアスに恨み言を吐き捨てた。


「悪魔と戦うのは初めは怖かったけど、皆さんのお役に立てるなら私は全力で戦います!」


ジルはオーラナイトでもないただの一般人である自分が悪魔と戦うのは心の奥で恐れの感情があった、しかし自分の能力がリチュオルの能力に対抗できると閃いた今は自分は仲間の役に立てると強く自信を持っていた。









病院を跡にしたロンリネスはビルの屋上のフェンスに1人、背を持たれて風を感じていた。


(アイシクルから聞いた情報では美森は今頃グリーンパール博物館でオデイシアスと対決してる頃だけど、果たしてどうなってる事やら……)


ロンリネスはアイシクルから事前に美森とオデイシアスが今日対決する事を聞かされており、今の戦況がどうなってるのかが気になっていた。


(私は美森に加勢するべきなのだろうか……私と美森は家族ではあるけど……どうも踏ん切りが付かない……そもそも家族と言っても従兄妹っていうちょっと遠い関係だし過剰に深入りして良いのだろうか……)


ロンリネスは先のニュームーンの時の様に加勢してあげようかとも考えたが、血縁関係があるというだけで美森に深入りするのは正しい事なのかと悩んでいた。

ましてや美森に自分達は従兄妹同士だと打ち明けていないので変に過保護になると美森が不思議がるとも考えていた。


(それにしても、すっかりアモーレも美森達の所へ打ち解けたみたいね、明るいあの娘は明るい場所にいた方が気楽でいいから正解だけど……)


一方でロンリネスはアモーレの事も考えていた。

アモーレが雪木の家に居候した後も連絡は取り合っており、色々と話は聞かされていたのだった。

そんな時、屋上に上がって来る足音がする事に気づいた。

ロンリネスは先程までの悩みを一旦忘れて誰がやって来るんだと警戒心を高める。

足音はどんどん近づいて行き、やがて人影が目に写った。









美森達は食堂でパズルカードの捜索をしていた。

雪木はまず大体の人が物を隠しそうな冷蔵庫を開けて中を調べる。


「うーん……中は食材ばかりでカードらしき物は見当たらないわねぇ……」


雪木は食材を除けて慎重に探すが、パズルカードは見当たらなかった。

一方の直花はゴミ箱の中を探していた。

ゴミ箱の中は紙コップだけだったので特別漁るのに抵抗は無かったのだ。


「意地悪でゴミ箱の中に隠したのかと思ったけど、そうでも無かったわね。」


直花もゴミ箱の中をよく探してはみたものの、そこにもパズルカードがある気配が無くて残念に思った。


「ありました!」


そんな時、アモーレがパズルカードを見つけたと皆に報告した。

針橋を入れる箱の中に隠されていた様だった。

美森達は一斉にアモーレの元まで駆け寄った。


「そんな所に隠してあったんだ、ありがとうアモーレ。」


美森は単純そうで分かりづらい所にパズルカードがあった事にたまげ、そして見つけてくれたアモーレに礼を言った。


「いえいえ……300年前は身分の高さ故に籠の鳥だった私が皆さんの役に立てて光栄です。」


アモーレは美森に褒められた事が嬉しくてつい赤面してしまう。


「さてと、この後が大変ね、アクションゲームだとキーアイテムを取った後敵が出現するから。」


一方の直花は自分達が今ゲームをしている事を思い出し、ゲームの特徴を思い描いて警戒心を高める。

直花の予想通り、蝿の悪魔が次々と食堂に入って来た。


「ここは私にお任せください。」


アモーレは自分が戦力にもなる所を披露するいい機会だと感じて戦いたいと申し出た。


「お手並み拝見だね。」


美森はアモーレの申し出を素直に認め、彼女の戦闘力を確かめようとした。

アモーレは早速フルートを取り出し、それを奏でた。

優雅な音色が響き渡った直後、アモーレの口元が金色に輝き出し、そして口からレーザーが放たれた。

レーザーは次々と蝿の悪魔を蹴散らし、数秒程で蝿の悪魔を一掃した。


「フルートから奏でられる音色をレーザーに変える能力、聞いていた以上の威力ね……」


雪木はアモーレのレーザーの威力の高さに唖然とした。


「さぁ、次のカードを探しましょう!」


敵を蹴散らしたアモーレは満面の笑みを浮かべながら美森達に先へ進もうと呼びかけた。

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