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23話 英夜と幽霊少女7

人気のない荒れた荒野。

その荒野の上空に一つの黒いスペースシャトルの様な形の飛行機が飛んでいた。

飛行機は地上へと降りて来て、人が飛び降りても大丈夫な高さまで降りると右横のハッチを開いた。

その内部から姿を現したのはリメインだった。

リメインは下をみるや、パラシュートをするかの様に飛行機から飛び降りる。

そしてリメインは大きく宙返りをしながら地上へ着地した。


「やっぱり旅客機を予約するよりこの方が手っ取り早い……です。」


リメインは右手でスカートに着いた塵を掃いながら静かに呟く。

その後、飛行機はゼリー状の物体となり小さくなりながら地上に降りて来て、やがて人の形になって着地した。

そして人型となったゼリー状の物体は黒い革ジャンにグレーのジーンズ姿の男性へ変身した。

男性の身長は170cm程で、黒い髪に中性的な顔立ちをしており、女装をすればショートカットの妖艶な美女だと思われそうな美貌だった。


「早速運賃を払って貰おうか、35万、帰りの分も先払いしたけりゃ70万だ。」


男性はリメインに近づき、高額な運賃を要求する。

リメインは肩にかけてた赤いポーチから札束を取り出し、男性に渡した。

札束を受け取った男性は数が合うかどうか親指で確認する。


「毎回思うけどもう少し安くして欲しい……です……アーク。」


リメインはアークと呼んだ男性に運賃の高さに苦言を溢す。


「数えてる最中に話しかけるな、それにこれでも十分割引してるんだ、ケチらないで欲しいんだがな。」


アークは気を散らされて不機嫌になりながら、これ以上は値段を負けられないとリメインに断言した。


「はぁ……取りあえず街に行く……です。」


リメインはやれやれと言わんばかりのため息を溢しながら街へ出発しようとアークに呼び掛ける。


「そうだな、折角だし俺も観光して行くか。」


アークは札束をある程度数え終わった後、リメインと共に歩き出した。






リリカの屋敷を跡にした美森達一行はバスに乗って街に向かい、そして穂波にブルーアルバトロスホテルまで案内された。

そのホテルは12階まであろう長いビルとなっており、名前の通り青い塗装が塗られていた。

外から1階の窓を見た感じでは左サイドにレストラン、右サイドが土産物屋となているのが確認できた。


「まぁパッと見は何処にでもある市内のホテルね。」


雪木はホテルの外見を見て率直な感想を口にする。


「田舎の方には温泉とかプールがあるもっといいホテルがあるわ、ここは引っ越したばかりでまだ住まいが決まらない人や出張で訪れるサラリーマンが泊まる様なホテルね。」


穂波は地元代表として得意気にホテルの事を語った。


「所で、お前はどうする気だ? 俺達と一緒に泊まるのか?」


英夜はまだ穂波が一緒にホテルに泊まるかどうかを聞いていなかった事に気づき、それとなく尋ねる。


「いいえ、基本1人で外泊する事を許してくれないのよ、私の両親。」


穂波は未だに厳しい両親に対する後ろめたさを現すような複雑な表情になり、自分もホテルに宿泊する事は出来ないと断った。


「お前も苦労してるな。」


英夜は相変わらずあれこれ言いつけてくる親を持ってる穂波を気の毒に思う。


「それに家が近いのにわざわざホテルに泊まるのも変だし仮に泊まるとしたら3部屋必要になるでしょ? そっちの2人がペアで1部屋使うと仮定した場合。」


穂波はそれでも自宅は近いのですぐに合流できると思い特別不服には思っていなかった。

そして自分もホテルに泊まってはその分出費がかかると思い、泊まらない方がメリットがあるとも考えていた。


「まぁ、確かに僕らはそのつもりだけど……」


美森は穂波の指摘通り、自分は雪木と1部屋借りるつもりでいた事を打ち明ける。


「ちょっと待て、お前は俺と一緒の部屋を使うのが嫌だってのか?」


英夜は出費軽減も兼ねて自分と同じ部屋を使うとうい発想はなかったのかと穂波に伺う。


「当たり前でしょ! 嫌よあんたとなんか!」


穂波は英夜と共に一晩を過ごす事には真っ向から有り得ないと拒絶する。


「ぐぅ……返す言葉が無いのも事実か……」


英夜は言われてみれば穂波とは一緒の部屋で過ごすほど関わりが深くないと感じ、彼女の言葉に反論が見つからず引きつった表情になる。


「あんたもデリカシーが無いわね、普通は嫌よ、そんなに親しくない男と一緒の部屋で寝るなんて。」


そこに雪木が17歳の少女が5歳も歳の離れた男と一緒の部屋を使うのは当然抵抗があるだろうと英夜に指摘する。


「そういうお前は水前寺と一緒の部屋になるのはどう思ってるんだ?」


英夜は指摘を入れて来た雪木の方は美森と1部屋使う事にどういう感情を抱いてるのか気になり尋ねる。


「……ちょっと嫌。」


雪木は少し沈黙した後、美森と一緒の部屋を使う事に抵抗を感じてると英夜に返答した。


「え!?」


美森は辛辣な発言にショックを受ける。


「でも一応ボディガードなんだしこういう旅先では24時間警護して貰わなきゃって思ってるわ、無防備でいるよりマシだし。」

「ふ……複雑な気分……」


雪木は一応フォローらしき言葉も入れるが、それでも美森はまだ彼女からの好感度は低いのかと思い苦い表情になる。


「そちらのお2人さんも仲が良いんだか悪いんだか分からないわね。」


穂波はそんな美森と雪木を見て、何か隠し事をしてるかと思いきや恋人と呼べる程親密な関係でもない2人が変に思い失笑する。


「俺もこいつらと関わってまだそんなに経ってないからお前に同感するぜ。」


英夜もその2人が良いムードでいる所を見た事がなく、穂波の意見に共感した。


「それじゃあ私はこの辺で失礼するわ、また何かあったら電話してね、それじゃあ明日12時前にゲームセンターで落ち合いましょう。」


穂波は取りあえず今日はもう帰っても大丈夫だろうと判断し、美森達に別れの挨拶を告げて立ち去る事にした。


「ああ、ここまでの道案内すまなかったな。」


英夜は穂波にホテルまで連れて来てお礼を言って帰って行く彼女に軽く手を振る。


「気を付けてね。」

「また明日ね。」


美森と雪木も穂波に手を振って別れの挨拶を交わした。

穂波と別れた後、美森達はホテル内に入りチェックインを済ませる。

当初の予定通り、美森と雪木は2人で605号室の部屋を借り、英夜は1人で609号室の部屋を借りた。

そしてまず3人は明日穂波と落ち合う場所となるゲームセンターを確かめに2階へ上がった。

ゲームセンターは階段を上がってすぐ目の前にあり、スロットやクレーンゲーム、格闘ゲーム等様々な台が配置されており、遊んでいる客もそこそこの人数いた。


「あのマーシュとかいう野郎は明日ゲームセンターで何をしようってんだか。」


英夜は占いの通りであれば明日の12時、マーシュがここで何かをやらかすだろうと思い、彼の目的が気になる。


「幽霊達と一緒にゲームをして遊ぶ……なんて幽霊をコレクションしてる悪趣味な奴がする訳ないし……」


雪木も冗談まがいな予想を口にしてみるものの、マーシュの目的を推理出来ずにいた。


「少なくとも明日の12時にはゲームセンターに人を近づけない事が重要じゃないかな、下手すればこのホテルの従業員や宿泊客全員を非難させなきゃいけないかも。」


美森はマーシュの企みに無関係の一般人達は確実に巻き込まれるであろうと予想し、ホテルにいる人達の安否を心配する。


「だが、どうやってここにいる人間を全員外に出す気だ?」


英夜は少なくとも100人位はいるであろうホテルから全員を外に非難させる方法はあるのかと美森に尋ねる。


「そこなんだよね、何かいい方法がある筈なんだけど……」


美森もそこはどうすればいいのか分からずに悩んでいた。


「ねぇ2人共、一つ提案があるんだけど。」


そんな時、雪木は何かを思いついた様で2人に輪になる様呼びかけた。

3人は一カ所に塊り輪を作り、そして雪木がヒソヒソと自分の提案を話し出した。


「……お前にしてはいい案だな。」


英夜は雪木の提案はまぁまぁ良いと賛同する。


「何よ『お前にしては』って!? 私の中学高校時代も知りもしない癖に偉そうな事言わないでよね!」


しかし雪木は相変わらず英夜が自分を下手に見てる言い方をする事に腹立ち感情を荒げてしまう。


「雪木さん、他の人に聞こえますよ、天城君も言い過ぎ。」


美森は怒りだす雪木を焦った表情で静め、英夜にも言い方を気を付けて欲しいと注意する。


「ふん、兎に角強引なやり方だけど被害者が出るよりマシよ。」


雪木は取りあえず落ち付き、腕を組みながら自分の提案なら犠牲者が出るのを防げると断言する。


「上手くやってみせます、けどその時は雪木さんも一緒に非難してください、今度は本格的に悪魔と戦う事になりそうなので。」


美森は雪木の提案を上手く成功させてみせると宣言した後、その後に行われるマーシュ戦に雪木がいては危険だと思い、彼女にひなんする様指示する。


「そこなんだけど、ちょっと胸騒ぎがするのよね。」

「え?」

「幽霊コレクターの悪魔やリリカちゃん以外にも他に何か出てきそうで……そんな時、私が回復役としていた方がいい気がするのよね……」


しかし雪木は何か嫌な予感を感じたのか、明日戦う事になる敵はマーシュやリリカだけなのだろうかと不安になっていた。


「他にも敵が出てこられりゃ困るがちょっと雪木に同意するぜ、俺はテレビゲームはあんまりやった事無いがRPGとかで回復役は必要だというのはなんとなく分かる。」


英夜はリリカの屋敷で雪木が味方の回復も出来ると言ってた事を思い出し、雪木は戦いの場にいた方がいいのではと美森に指摘する。


「そんな……僕はただ、雪木さんをお守りしたい、雪木さんを戦いに巻き込みたくないんです……」


美森は暗い表情になりながら、雪木の身を守りたいという意思を口に出す。

雪木はそんな美森を見てやはり彼は高井の死がトラウマとなっていて、その反動で身近な女性を極力守りたいと思っているのだと推察する。


「取りあえず部屋に行こう、水前寺とは少し話がしたいし。」


雪木は自分が回復要因として戦いに参加するか、ホテルの外で待機するかを美森と相談するため自分達が借りた部屋にいこうと英夜に呼び掛ける。


「本当秘密主義者だよなぁお前ら、でもいい、俺もしばらくは1人になりたい気分だしな。」


英夜は秘密を共有し合う美森と雪木に呆れながらも、自分も変わり果てたリリカを見たショックもあり1人で気持ちを修正したいという感情があったため雪木に同意した。

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