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21話 英夜と幽霊少女5


「「グア――――!!」」


美森と英夜はラパンの攻撃で1階の大広間へ投げ出される。


「くそぉ……なんて力だ……」


階段から転がり落ちて倒れ込んだ英夜は自分の身体に鞭を打つ様に立ち上がりながらラパンの攻撃力に毒づく。


「天城君、変身しよう!」


同じく立ち上がった美森が英夜に装甲態への変身を呼び掛ける。

しかし英夜は階段から静かに降りてこちらに向かって来るラパンを見て戸惑った表情を見せる。

ラパンを見る度に血の気のある肌と潤った瞳で純粋に微笑むリリカを想像してしまう。


「天城君!!」


美森は英夜の心に迷いがあるのを読み取り、彼を正気に戻そうと呼びかける。


「ああ、すまない……畜生……いつまでもうじうじしてられっか!!」


美森の声で我に返った英夜は頭の中にある迷いを掻き消す様に叫んだ後、懐中時計を取り出し、蓋を開けて装甲態に変身した。

美森もそれに続いて装甲態に変身し、2人はラパンに立ち向かって行く。

ラパンは剣と薙刀による攻撃を長い爪で弾き、口から紫の光弾を吐いて応戦する。

2人の装甲態はバックステップで光弾をかわし、再度ラパンに斬りかかる。

ラパンは宙返りで攻撃を避け、階段の下に着地する。


「2人共!!」


その最中、穂波が装甲態2人に合流する。


「長良さん、雪木さんは!?」


美森装甲態は穂波に雪木の安否を尋ねる。


「心配ないわ、ほら。」


穂波は2階の廊下の方を指さす。

美森装甲態は穂波が指さす方向を見つめると階段の上から緊迫した表情でこちらを見つめる雪木の姿があった。


「そこで待ってて下さい、すぐに終わらせます。」


美森装甲態は雪木の安否がわかって安心した後、彼女にその場を離れない様指示する。


「頑張って、相手が本気ならこちらも全力でいくしかないんだから!」


雪木は相手が少女の幽霊であっても全力で戦わなければやられると3人に忠告とエールを送った。


「わかってるよ。」


英夜装甲態は薙刀を時計回りに回転させながら雪木に返答する。

そして3人は階段を降りてラパンに突撃していった。

美森装甲態と英夜装甲態が再び武器で攻撃する。

やはりラパンは攻撃を爪でガードしてしまうが、その隙に穂波が両手でラパンの胸部に触れる。

すると穂波の両手が赤く発光し、大きな音と共に爆発が起きる。

ダメージを受けたラパンは後退りをして身体を膝をつく。


「天城。」


穂波は英夜装甲態の肩に手を置き、彼にアイコンタクトを送る。

英夜装甲態は穂波が自分に何を訴えたいのかをすぐに読み取り、急いでラパンに駆け寄り彼女の両手を掴む。


「おいリリカ! 俺はお前と喧嘩するために来たんじゃない、お前とただ話がしたいだけなんだ!!」


英夜装甲態は必死な声でラパンに説得を呼び掛ける。

しかしラパンは霊圧で英夜装甲態を弾き飛ばす。


「ぐっ……リリカ落ち着け、お前はそんな攻撃的な性格じゃないだろ!!」


飛ばされて転んだ英夜装甲態はすぐに起き上がり、続け様にラパンに説得の言葉を投げる。


「うう……遊びたい……遊びたいよぉ……」


ラパンは低く濁ったおぞましい声で呟く。


「リリカちゃんにはもう生前の理性はないのかも……」


美森装甲態はラパンの様子を見て彼女はもう生前のリリカではないのかと推測する。


「テメーがリリカを語るんじゃねぇ!!」


英夜装甲態はリリカの事を知りもしないのに気安くその様な推測を立てた美森装甲態に思わず激怒してしまう。


「2人共、言い争ってる場合じゃないわよ!!」


穂波は口論を起こした2人に注意して、戦いに集中する様指摘する。

ラパンは高くジャンプして英夜装甲態に飛びかかる。


「ぐっ!!」


英夜装甲態は薙刀でラパンを受け止める。

ラパンは薙刀の上に綱渡りの様な体制で乗っかり、自身の体重で英夜装甲態を押し潰そうとする。

そこに穂波が飛びかかり、手のひらの爆発でラパンに攻撃しようとする。

しかしラパンは穂波の攻撃を2度も受けるかと言わんばかりに身体を避けて地面に着地する。


「くっ……いくら小さな女の子でも同じ攻撃は通用しないか……」


穂波は理性はなくても相手の攻撃を学習する能力は残っているラパンに対し、甘く見ていた事を反省する。

そして穂波は何かを思いつき、美森装甲態に駆け寄る。


「それ借して!」


穂波は美森装甲態に剣を借してくれないかと願い出る。

美森装甲態は彼女が何か策を思いついたのだろうと読み取り、コクンと頷いて剣を渡した。

穂波は両手で剣を構えながら足にオーラを貯めながらラパンに突進し、そしてラパンに強烈な突きを与える。

剣はラパンの腹部に突き刺さり、爆発が起きる。


「何が起きたの!?」


美森装甲態は今の状況がどうなっているのかを穂波に尋ねる。


「私はただ直に触れた物を爆発させるだけじゃないの、手に持った武器経由で相手を爆発させる事だって出来るのよ。」


穂波はバックステップで美森装甲態達の方に戻りながら自分のオーラの特徴を説明して、美森装甲態に剣を返却する。


「手に持った武器に自分のオーラを送れるって事か。」


美森装甲態は剣を受け取りながら穂波の技の応用の仕方に感心する。


「みんな、まだリリカちゃんは動けるわ!!」


そんな時、上で戦いを見ていた雪木がラパンの様子を見て3人にまだ倒せてないと警告する。

雪木の言う通り、ラパンは体制を立て直しこちらに近づいてきた。


「幽霊だから……倒すのは無理なのかもな。」


英夜装甲態はもう既に死んでいるラパンを倒す事は不可能だと気付き始める。


「話し合いにも乗ってくれそうにないし、完全に詰まったわね。」


穂波も打つ手が思いつかず、このまま戦ってもキリがなさそうだと困惑し始める。

その時、ラパンの足元から突然巨大なシャボン玉が現れ、彼女の身体を覆った。


「「!!?」」


そこにいた誰もが突然の出来事に驚く。

するとラパンの付近から大量の小型のシャボン玉が現れ、それが一カ所に集まり人間の形を作り、男性の姿に変身した。

その男性はグレーのビジネススーツに青い髪、そして眼鏡をかけた30代位の容姿だった。


「誰だテメー!?」


英夜装甲態はスーツの男性に何者か問いかける。


「私はマーシュ、幽霊集めが趣味のしがない悪魔です。」


マーシュと名乗った男性は相手を挑発する様な敬語で自己紹介する。


「状況はだいたい読めた、あんたはリリカちゃんをコレクションに加えるためにここにやって来たのね。」


穂波はマーシュの自己紹介から彼が何の目的でここに現れたのかを推察する。


「ええ、最初はそのつもりでしたがちょっと気が変わりましてね、これからもっと面白い事をしようと思います。」


マーシュは穂波の指摘通りラパンを自分のコレクションにするためにここに来たのだと宣言するが、そうやら今は別の目的がある様だった。


「どういう事だ!?」


美森装甲態がマーシュに問いかける。


「それは秘密です、ではごきげんよう。」


しかしマーシュはそれ以上は何も言わず、両手の手に平から大量のシャボン玉を作り出して自分とラパンの身体を覆う。


「待て!!」


英夜装甲態はマーシュがテレポートの類で逃げようとしているとすぐに読み取り、薙刀を構えて彼目掛けて走り出す。

しかし英夜装甲態の足は間に合わず、マーシュとラパンはシャボン玉と共に天井をすり抜け、空の彼方に消えて行った。

英夜装甲態はその場に跪き、左の拳で地面を叩きつける。


「くそっ!! 今凄いムカつく気分だぜ、リリカはすっかり変わり果てちまったしそのリリカが訳分かんねー奴に連れていかれるんだからよ!!」


英夜装甲態は幽霊とはいえせっかく15年ぶりに再会したリリカが生前の理性を忘れて悪霊の様になっていた事、そして唐突に表れたマーシュにリリカが連れ去られた事に苛立ちを覚える。


「うう……私のせいよ、私がここに来ようなんて言わなければ……」


穂波はそんな英夜装甲態を見て自分がリリカに会いに行こうと言わなければこんな結果にならなかったと感じて罪悪感を抱く。


「いやお前のせいじゃねーよ、俺達がここに来なくてもあいつはリリカを連れ去っていた……」


英夜装甲態は自分達が屋敷に訪れた事とリリカがマーシュに連れ去られた事は関係ないと穂波を慰める。


「天城君、さっきはごめんね、リリカちゃんの事を何も知らない僕が物を語って。」


一方の美森装甲態は風化させる前にと思い、先程幽霊であるリリカに理性は無いと発言した事を英夜装甲態に謝罪する。


「そんな事はもうどうでもいい、俺達が今するべき事はさっきの奴を追う事だ。」


英夜装甲態はさっき激怒してしまった事は今は気に止めていないらしく、マーシュの行方を捜す事だけを考えていた。


「でもどうやってあいつを追う?」


穂波はマーシュを追う手立てがなく、捜すのは極めて困難ではないかと英夜装甲態に指摘する。


「ねぇみんな!」


そんな時、雪木が階段の上から降りて来て3人に話しかける。


「さっきの奴が何処に行ったか、私が占いで探り当てるわ。」


雪木は自分の胸に手を当てながら自分ならマーシュの行方を捜せるかもしれないと宣言した。


「お前占いなんて出来るのか?」


英夜装甲態は雪木が占いも出来る事も初耳で、信用して大丈夫なのかと不安になる。


「出来るわよ、この屋敷にあるリリカちゃんの私物を使って残留思念をたどればね。」


雪木は自分を信用してなさそうな英夜装甲態に対してムッとした表情になり強気な姿勢を見せる。


「雪木さんも占いって出来るんですね。」


美森装甲態は雪木が自分の母と同じく占いが出来る事に驚き、一緒に居てもまだ自分は彼女の事を詳しく知らないのだなと感じた。


「戦いは苦手だけどそれ以外の分野なら私だって役に立つわよ、他にもあんた達のダメージを回復させる事だってできるのよ。」


雪木は戦闘が出来る程運動神経が高くない物の、仲間のサポートにおいては強い自身があった。


「分かったよ、だったらその占いをとっとと始めてくれ。」


英夜装甲態は雪木の長所を理解した後、マーシュの行方を捜す占いを始める様要求する。


「ええ勿論、じゃあリリカちゃんの部屋を案内して。」


雪木は英夜装甲態が本当に自分を信頼したのかどうかを疑いながらも、彼にリリカの部屋が何処にあるのか聞き出した。

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