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TS魔法少女は戦いたくない  作者: 橋比呂コー
第六話「謎の天才ゲーマーと自由の戦士ヴァルエメラルド」
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謎のプレイヤーL

「負けちゃったか。やっぱ、覇王強いね」

「優輝も初めてにしてはやるじゃないか。俺の見立てでは筋がいいぞ」

 覇王の見立てってアテになるのか。

「せっかくだから、トーナメントに出てみるたらどうだ」

「いやいや、無理だって。いきなり勝てるわけないじゃん」

「知らぬようだな。トーナメントは参加するだけでもプロモーションカードがもらえるのだぞ」

 そう言ってちらつかせるのはメッキが施された「荒野の野犬」のカード。参加賞の特別バージョンか。うう、そんなのを見せられたら参加したくなっちゃう。なんか、小学生向け漫画雑誌に連載されているカードの販促漫画みたいな展開だな。


 ふと、隣のテーブルに目を移すと、華怜が一喜一憂しながら渚先輩と戦っていた。とにかく攻める戦法の騎士王デッキは華怜と相性がよく、初めてにしては先輩を追いつめているようだ。

「私のライフを100まで減らしたのは褒めてあげるわ。でも、彼の者曰く、詰めが甘いってね。奇跡の魔導士により手札の魔法カードのコストを2下げる。そして、マジカルメテオでプレイヤーに直接300ダメージ」

「ちょっと、せっかくディフェンダーを出したのに」

 多分、ディフェンダーの王の護り手で奇跡の魔導士の攻撃を防ごうという寸断だったんだろうな。直接ライフを削られては対抗しようがないし。

「モンスターを無視してダメージなんてインチキよ」

「文句があるなら製作元にいいなさいな。バーストダメージを多数搭載し、魔導士でコストを下げて一気に撃つ。これも立派な戦略よ」

「魔術師バーストか。大会でも上位の戦術だな。ガチデッキを使うとは、先輩もなかなかやりおる」

 ガチデッキとかもはや未知の領域だよ。なんかキラキラしたのがいっぱい入ってたし、よほどカードパックを開けたんだろうな。


 スターターそのままで大会に挑むのは無謀なので、覇王からいらないカードを分けてもらい、デッキを強化した。一番レアリティが高いカードをくれるって、カード資産に余裕がありすぎるでしょ。

 不安を抱えたままボクは対戦席に座る。さて、最初の相手は誰だろう。

「へえ、君が相手なんだ。よろしく」

 無邪気にほほ笑んで握手を求めてくる。握り返すと、口角をあげ、歯をのぞかせた。


 小学校の高学年、あるいは穂波と同じくらいだろうか。オーバーオールと相まって幼げな印象を受ける。そして、気になって仕方ないのはカードをシャッフルする度に揺れる頭の触角だった。切り散らかしている毛先もさることながら、意思でも持っているかのように天辺の髪の毛が動いているのだ。よもや、妖怪アンテナ。なんてことはなく、単なるアホ毛だろう。

 で、この子の名前は……L。いや、間違ったことは言っていない。本当にLって書いてあるんだもん。ニックネームだろうけど、どんな意図があるんだか。デスノートの保有者を探そうとしてるんじゃなかろうね。

「えっと、優輝ちゃん。じゃあ、マサッキーね」

「ま、マサッキー?」

 なにその、船橋市の非公認ゆるキャラみたいな名前。渚先輩と同じく妙なあだ名をつけるのが好きなのかな。でも、見ず知らずの相手にいきなりマサッキーって。


 困惑したまま試合開始を迎えた。いけない、いけない。相手のペースに呑まれちゃってるけど、集中しなくちゃ。お、2コストのカードがある。とりあえず、序盤にカードが出せないというカード事故は防げたぞ。カード事故って覇王に教えてもらった用語だけどね。

「よーし、いくよ! 1マナ使って疾走する山猫を召還」

「いきなりモンスター」

「別に普通っしょ。これで驚くってく、ひょっとして初心者?」

 うむむ、見抜かれた。黙っていると、図星と捉えたのかカードで首筋を煽ってくる。

「ぼく、ゲームじゃ手加減しない主義なんだ。負けても泣いちゃいやだよ」

「子供じゃないんだから泣かないよ。えっと、ボクは一ターン目はパス」

「じゃあ、ぼくのターンだね。2マナで突撃モグラを召還。この子は手札を捨てることで速攻能力を持つんだ。山猫と一緒にダイレクトアタック」

 黄土色の子猫と鼻にドリルを付けたモグラが一斉に飛びかかって来る。いきなりライフは1800。しかも、既に二体のモンスターが並んでいる。覇王の受け売りだと、相手は低コストのモンスターを中心に使う速攻デッキか。


 ボクはオーソドックスにマナカーブ通りにモンスターを出していく。けれども、矢継ぎ早に出される相手モンスターに対処しきれない。すごい勢いでモンスターが出てくるけど、手札が尽きることがないのだ。

「もっと遊んでいたかったけど、残念だな。まあ、速攻デッキ使ってるから仕方ないか」

 6マナ溜まっている時点でボクのライフは600。相手は1700だった。ダメだ、格が違いすぎる。

「じゃあ、トドメね。グレゴリアスドラゴン召還。この子はぼくのバトルゾーンにあるモンスターの数だけ攻撃力を上げるんだ。おまけに、3体以上いれば召還酔いせずに攻撃できる。5体分のパワーを吸収して、攻撃力は700だ」

「しかも、すぐに攻撃できるってことは」

「君の想像通りだよ。一斉攻撃でディフェンサーの盾持ちを破壊。そして、グレゴリアスドラゴンでダイレクトアタックだ」

 緑の鱗のドラゴンがあぎとを開き、ボクに襲いかかる。守りの要である偉大なる盾持ちがやられてしまったため、攻撃を防ぐ手立てはない。


 勝敗が決して項垂れていると、Lは屈託のない笑みを浮かべて、再度握手を求めてきた。

「初心者っぽいけど、なかなかやるじゃん。でも、勝負はぼくの勝ちだかんね。また勝負しようよ」

「うん、機会があったらね」

 勝ってもなお相手を気遣い、爽やかに讃える。典型的なカードゲーム漫画の主人公みたいな子だな。この大会に出ているってことは、近くの学校に通っているのだろうか。今まで見かけたことないけど。なんて、考え事をしていると、いつの間にかLは姿を消していた。立ち上がって首を動かすけど、どこにもいない。一体どこに消えたのやら。慌ただしいというか、なんというか。

グレゴリアスドラゴンはデュエルマスターズの「緑神龍グレガリゴン」が元になっています。中学生の時にデュエマやってました。

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