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TS魔法少女は戦いたくない  作者: 橋比呂コー
第四話「優輝の仲良し大作戦」
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ルビィの暴走

 近距離技しか使えないのに相手に触れないという矛盾を抱えたルビィ。バタフライカルアは安全地帯より「邪毒粉舞パウダリーベノム」で牽制をかける。風邪で体力を消耗したらせっかくの火力が活かせなくなる。それ以前に、風邪を引いているのに暴れちゃいけないけど。

 防御すらしないルビィに苛立ちを募らせたのか、サファイアは強く地面を踏み鳴らす。

「いいかげんにしなさい。せっかく変身したのになんてザマなの。バカは風邪ひかないんだから、変な粉なんて気にする必要はないわよ」

「ちょっと、誰がバカですって」

「近距離で突撃するしか能がない魔法少女をバカと言わずしてなんていうのかしら」

「うっさいわね。攻撃できない乳デカ女になじられる筋合いはないわよ」

「この局面で乳は関係ないでしょ、ちんちくりん」

「黙りなさい、いかがわしいお店のウサギ女」

「あんたら、私を差し置いて喧嘩してんじゃないわよ」

「毒蛾はすっこんでなさい」

 そこは唱和するんだ。同時になじられたバタフライカルアはほぞをかんでいる。あの、相手は蛾じゃなくてチョウチョなんですが。


 むかっ腹をたてたのか、バタフライカルアは大きく羽根を広げる。

「生意気な小娘たちめ。私の魔法で大病になりなさい」

 先ほどよりも激しく毒鱗粉(風邪菌)をばらまきながら迫ってくる。

「いやーっ! こっち来ないでよ」

 飛散する大量の風邪菌よりも、接近してくるバタフライカルアそのものを恐れているみたいですが。

「逃げちゃダメだバ。君の魔法は近づかないと使えないバ」

「無理なものは無理よ」

 店内でバタフライカルアとルビィによる追いかけっこが繰り広げられている。無我夢中で走り回っているせいで、陳列物が悉く薙ぎ払われていく。被害総額がとんでもないことになりそうだ。


 建物内という環境がルビィにとっては不利に響いた。動くことのできる範囲に制限があるため、鬼ごっこをしているとどうしても袋小路に追い込まれてしまうのだ。実際、背中に陳列棚、目前にバタフライカルアという絶望的状況に陥っている。

「ついに手詰まりのようね。さあ、私の毒でゆっくり調理してあげましょう」

 少し手を伸ばせば触れられる距離にまでバタフライカルアは接近している。しかも纏っているのは毒の鱗粉。もはや詰みなのか。


 しかし、華怜の虫嫌いが思わぬ方向に働いた。

「いやぁぁぁぁぁぁぁ!! あっち行ってぇぇぇえぇぇ!!」

 悲鳴と共にルビィの全身が燃え上がる。決して比喩で言っているのではない。本当にルビィが炎上しているのである。


 近距離で炎を発生させて相手を焼き尽くす。ルビィの魔法の一つ「情熱思慕バニラディザイア」だ。呪文を唱えてもいないのに炎を巻き起こすなんて。

「すごいバ。無意識のうちに魔法を発動させているバ」

「ひょっとして、ダンゴムシが突かれると丸くなるようなもの?」

 先輩、例えが可愛そうすぎますよ。学術的に言いかえるなら防衛反応ってところかな。


 意図せず発動させたとはいえ、いきなり火炎放射に晒されては堪ったものではない。美しかった羽根は次第に塵へと化していく。いくら魔法を防御する鱗粉があったとしてもお構いなしのようだ。

「熱い、熱い! あんた、炎は卑怯よ!」

 どうにも、ルビィが放っている魔法の威力が強いだけでもなさそうだ。バタフライカルアは過剰に炎を嫌がっている。


 そこでボクはあることを思い出した。某RPGにおいて、虫は炎を苦手としている。その理論が適用されているのなら、バタフライカルアにルビィの魔法は効果は抜群だということになる。あいつ、虫と毒の複合っぽいから、エスパーとかも苦手にしていそうだな。誰も超能力なんて使えないけど。


 激しい火炎は鎮火する気配がなく、バタフライカルアを一方的に焼き尽くしていく。断末魔の叫びをあげる怪物に同情を禁じ得なくなる。さすがに耐え切ることはできないだろう。

 怪物は倒せそうだけど、別の問題が発生していた。ルビィの炎が鎮火する気配がないのだ。勢いを増す炎はそこらへんの商品まで巻き込んで灰へと帰していく。まずいよ、このままじゃショッピングセンターが大火事になってしまう。


「計算違いだったバ。我を忘れてルビィが暴走しているバ」

「あの子、この前も暴走してなかったっけ」

 先輩も暴走していましたよね。自分のことを棚に上げつつ、サファイアは手のひらに氷を生成する。

「彼の者曰く、熱けりゃ冷ませばいいってね。頭を冷やすには私の魔法がピッタリでしょ。鋭閃絶氷ブリザードスラッシャー

 つららの刃がルビィを襲う。冷やすって、随分野蛮な方法じゃないか。まかり間違ったらルビィが大怪我をしてしまう。


 しかし、つららはルビィへと到達する前にドロドロに溶けてしまう。炎はいかなる攻撃も燃やし尽くす壁ともなっているのだ。と、いうか、氷じゃ炎には効果はいまひとつですよね。水をかけたとしても、焼け石に水に終わるだろう。


 実際、火災防止用のスプリンクラーが作動しているけど、全く炎が収まる気配はない。せめて、もっと勢いが強ければ。

 どちらにせよ、この姿のまま悩んでいては仕方がない。

「アーネストレリーズ! ミラクルジュエリーダイヤモンド!」

 ボクはヴァルダイヤモンドへと変身を果たす。火災騒動で変身は目撃されていないだろう。あっという間すぎて、凝視していないと誰が変身したのか分からないレベルだけど。

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