表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
介護日誌〜僕の愉快な仲間達  作者: めんとうふ
2/4

第1話 ラップだYo!! 新入社員と仲良くなる方法


新入社員の名前は「皆藤 こうた」。

入って一ヶ月も経ってないのに20時までの残業を強要される。介護福祉士の資格を持っており、周りからはチヤホヤされていた。


「先輩、仕事って定時に上がれないんですか?」


新入社員として入ってきた皆藤(福祉課高卒)が、会社に入社して一週間も経たずに放った言葉である。


「ハッハハハ、後輩よ。早く上がろうなんて甘いぞ。」


僕は気丈に振る舞い笑って返したが、内心は笑っていない。


(全く、その通りだ!なんで定時に上がれないんだ!)


今にも僕の心の声が漏れ出しそうだった。

なんで定時に上がれないんだって僕が聞きたいくらいなんだ。毎日残業3時間は当たり前、酷い時は5時間残業‥酷いなんてもんじゃない。


入社して間もないのに残業させるなんてブラック企業にも程がある。そんな皆藤を不憫に思い、僕は色々な相談に乗っていた。


その最初の相談はあまりにも面白く笑ってしまった。






★ 相談内容


「先輩、実は僕‥ラッパーなんですよ。」


他愛もない会話の中で、僕が適当にラップ口調で返した瞬間に言われた言葉である。


「は?皆藤何を言ってるの?」


皆藤が急に変な冗談を言いだしたと思い、ツッコんだ。


「実は県No. 1のラッパーなんです。」


自信満々に答える皆藤、どうリアクションしていいか分からない僕。目線を合わせると皆藤はニヤけだしていた。


「ちょっと待って‥急にどうした?」


「県の大会で優勝何度もしてるし、全国大会にも進出してます。」


「え~普通に凄いやん!今やってみてよ!」


「それはちょっと恥ずかしくて出来ません‥」


何なんだ皆藤、出来ないならなんで話題に出してきた?僕は皆藤がラップをしやすいように助け舟を出す。


「Yo!皆藤、ノッテ来いよ!恥ずかしがらずにせいYo!」


皆藤は腹を抱えて爆笑していた。笑われるなんて心外だ!ラッパーなら乗ってこいYo!


「ちょっと待って、なんか恥ずかしいんだけど‥」


「いやぁ、先輩は最高ですよ。僕は〇〇って名前でラッパーしてますからネットで検索してみて下さい。」


「あぁ、分かったよ。それにしても、なんでラッパーってカミングアウトしたの?」


「実は、いつかラッパーとして食べて行きたいんです。」


皆藤は急に真剣な表情になり、僕に熱く語ってきた。

皆藤自体はラッパーを本職として生きて行きたいと先生や親に必死に言っていたらしいが、介護職を本職としてラッパーは趣味の副職として生きていくべきと勧められて、この会社に入社したらしい。

僕もそう思った、ラッパーとして食っていける訳がないからだ。


「まぁ頑張れよ、夢があるって素晴らしい事だから」


皆藤に応援する旨を伝えると嬉しかったようで、皆藤の顔はずっとニヤけていた。



僕は家に帰り着くと早速、皆藤のラッパーネームをネットで検索した。すると、本当に動画があり視聴してみた。

皆藤はラップが上手く、客も盛り上がっており人気があるのが伺えた。僕は皆藤のもう一つの顔を見た気がした。






新入社員と仲良くなる方法は、共通の話題を見つけて距離を縮める事だ。

身近な存在であれば相談だってしやすいし、頼りになる。

新入社員の多くは不安を抱えている。学校では当たり前のように周りに仲間が居たが、それが会社になると一人っきりだ。


僕は皆藤と距離を縮めて仲間になったのだ。それだけで心強いし、話し相手が居る事により愚痴だって吐ける。


新入社員にしてあげれる事は、壁を取り除いてあげる事である。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ