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序章

真実を見つける物語

時間は風だ。

海を行く船を押す風。幻想的な音楽を乗せ、どこまでも続く広い海を航海する船を何処までも押していく風。

止むことは無く、ただ流れる様に吹く。船を押す風が時間だと例えるならば、船はきっと世界だろう。風が、嵐になれば船も向かう先が何処なのか解らなくなる。運が悪ければそこで座礁してしまったり沈没してしまうだろう。そこで誰かが舵を取り船の行く方向を示す。

ならば、時代は海だと誰かが言った。船を浮かべどこか遠い場所へと誘う海だ、と。抗う事もできず、ただ揺られどこに付くのかも分からずに我々は航海する。だから、船に乗った人物の一人が舵を取り、この海で生きる術を見つける。

そう、生きることは船で海を航海することなのだと。

我々はその時間と言う名の風に押され、時代と言う名の海に放り出され世界と言う名の船の舵を取り操り生きる生物である、とも誰かが言った。


そして、その海に揺られ続け現在に至る。国ができ、栄え、争いが起き始めた天王星ウラヌス歴1704年。


大きな大陸の西に位置する島国・帝都ノブレス。戦争を繰り返し統一して20年足らずの若き帝国。その力は強大で、その20年の間に100年以上の歴史のある大国に並ぶほどの、戦力や財力を手に入れてしまった。今や、世界の大帝国となり、世界の支配権をこの国が持っていると言っても過言ではないだろう。

その南側、海と1つの国を挟んで丁度ノブレスの対極に位置する国。500年以上の歴史を誇る大国・システマソラル。黄金に輝く国と呼ばれ、世界でも有数の強さを誇る艦隊を持つ。その力は『無敵』とまで言われる。そして現在、その二国は戦争状態にある。システマソラルがノブレスに侵攻したのをきっかけに、11年以上戦いが続いている。

その始まりは、17年前に遡る。ノブレスの驚異的な速さの領土拡大に各国は怯えた。そして、これ以上脅威になる前に滅ぼしてしまおうと、各国がノブレスに戦争を仕掛けたのがそもそもの始まり。始めの戦争、第一次シリウス海戦が幕を開く。戦争を仕掛けた国の中でもシステマソラルと隣国・カタラクト王国の二国同盟と、ノブレスと北の国・トロールの二国同盟が中心となって戦争をしていた。この時、トロールという国はノブレスの最大の貿易国だったためにノブレス側に付いていた。

結果、勝敗は決まらず戦争は長引くばかりだった。

戦争開始時の1705年。その年に1つの事件が起こった。天王星から隕石が落下し、カタラクト王国領土のフォーマルハウト島に落ちた。そこからは『魔石ませき』と呼ばれる石が発見された。それは後に魔道師たちや騎士に分析され戦争に用いられるようになった。その石は使い方次第で魔力を上げることや魔力の無いものでも魔術が使えるなど様々な能力を持っていた。

それを、完璧に使いこなして見せたのがノブレスだった。そして戦争はノブレスの圧勝で幕を閉じた。


だが、天王星歴1711年。第二次シリウス海戦が始まる。次の戦争では、ノブレスとシステマソラルの二国間の戦争だった。動機は前回と変わりないが、お互いがお互いに大きな被害を受けたため因縁をつけていた。システマソラルは無敵と言われる艦隊があのように簡単に落とされてしまっては面白くなかったのだろう。

今回の戦争に、他の国が参戦しなかったのはその理由もあるが、ノブレスは島国であるという特徴を生かし、魔石の力を使い陸からの攻撃を仕掛けることができない、水に守られた無敵の防壁を持つ城塞を作り上げてしまった。しかも、前回に比べ海軍が倍以上に訓練され並の海軍や艦隊では国に近づく事すらできなくなってしまったからだ。

そこで、無敵の艦隊を持つシステマソラルが名乗りを上げる。そのころのシステマソラルは団長が変わりさらに艦隊が強化されていたた。そして、11年以上に渡る海戦が幕を開けた。


そして天王星歴1721年。

この戦争も長引きいまだ決着がつかず、お互いにらみ合いが続いていた。少し前の1715年に第二隕石が落下した。同じく場所は、カタラクト領土のフォーマルハウト島。前回よりも大きく、島の半分が消しとんだ。そこからは、前回よりも豊富な種類の魔石の他にも、見たことのない物質などが含まれていた。それの解析に両国が時間を費やし、含まれていた物質から新たな武器を作ったり、魔石を使って魔術を新たに取り入れたりと、新戦力を用いたために戦争が長引いたという事もあるだろう。そしてそこからは、魔石とは違う宝石が見つかる。だが、とある学者が触れた瞬間それは一瞬にして砕け飛び散った。後に『天王星の欠片ウラヌスリトグラフ』と呼ばれるようになる。欠片の一つはフォーマルハウト島の洞窟の中に残っていたのでカタラクト王国が回収した。

解析して見ると、魔石とは比べ物にならない位の大きな魔力。カタラクトはこれが両国に渡ってしまえば他の国にも脅威になると恐れたのか、天王星の欠片を見つけたらカタラクト王国に持ってこさせるよう声明した。多額の賞金を付けて。

そして、隕石の落ちる4年程前にノブレス近海の海に海賊が現れた。。さらに北の国・トロールのバイキング。両者共、戦争の邪魔をしたり、各国を襲ったりと世界的に問題になっていた。海賊は、落下した隕石の欠片などを自力で解析し戦力として使い始めた。ノブレスやシステマソラルよりも魔石の使いに長け、あのシステマソラルの艦隊ですらも大きな被害を受けるほどだった。そして、その海賊たちも天王星の欠片を探し始めた。


神・ウラヌスは言ったという。


時間は風で在ると共に。武器でもある。

それをうまく従えるものこそ、我に近づけるのだ。と



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