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ナマケモノの冒険

作者: 荒北 英俊

 これはとあるジャングルに住むナマケモノの子のお話です。ナマケモノの子はとても好奇心旺盛で、賢い子でした。

 ある日ナマケモノの子は母親に聞きました。

「どうして僕らは一日中じっとしてばかりなの」

 ナマケモノの母親は答えました。

「それはね、ずっと動いていたらおなかが空くでしょ。そうしたら、たくさん木の実を食べないとだめ。そしたら木の実はいつか無くなってしまうの。そうなったら困るでしょ」

 けれどもナマケモノの子は賢いので思いました。でもジャガーやワシたちは僕らを食べようと必死になってるのを僕は知ってる。

 気になってじっとしていられなくなったナマケモノの子は、ジャングルの動物たちに聞きにいくことにしました。


 

 ナマケモノの子はゆっくりゆっくり木から木へ。

 すると、サルを見つけました。

 サルは言いました。

「ここは俺たちの住みかだ。勝手に入ってくるんじゃない」

 ナマケモノの子は驚きましたがサルに聞きました。

「サルさん、何で君たちにはボスがいるの。何で仲間とケンカするの。何でボスはあんなに食べ物があるの」

 サルはナマケモノの子が無害だと思い、質問に答えました。

「強いボスといると安全だからだ。他の群れにも勝てる。だから強いボスがたくさんの食べ物を食べれるのは当たり前だろ。お前たちには何でボスがいないんだ」

 ナマケモノの子は言いました。

「僕らはあんまり食べないんだ。だから争うのだって体力の無駄なんだよ。ボスを選ぶには戦わないといけないだろ。ねえ、僕はいろんな動物を知りたい。面白い動物を知らないかい」

 サルは少し考えて言いました。

「それなら、この森で一番強いトラに会ってみるといいさ。」

 そう言われたナマケモノの子はサルにお礼を言って出発しました。



 ゆっくりゆっくり木を移動していたナマケモノの子は、ついにトラを見つけました。

 しかし好奇心旺盛なナマケモノの子でも、トラの迫力に負け、声が出ませんでした。

 トラはナマケモノの子を見つけて言いました。

「我の威厳に怖気づいたか、ナマケモノの子よ。本当は今すぐに捕って食ってしまうところだが、あいにく我は腹がいっぱいだ。我は必要以上の殺生は好まぬ。安心するがよい」

 それを聞いたナマケモノの子は安心してトラに尋ねました。

「トラさん、何で君は食べ物をたくさん取らないの。食べ物が少ないと困るけど、多すぎても困らないじゃないか」

 トラは大声で笑いました。

「それが困るのだよ小僧。確かに我と我以外の動物は全く違う生き物だ。しかし、必要以上に捕ってしまったら、いつかその動物はいなくなってしまうではないか。そうしたら我も生きられないのだよ」

 納得したナマケモノの子はトラにお礼を言いました。



 自分の木に帰ったナマケモノの子は、母親にぶら下がったまま思いました。

 今日はいろんな動物のことを知ったけど、僕はナマケモノでよかった。だってボスを作らなくても、自分以外の動物を食べなくても生きていられるんだから。

 ナマケモノの子はそう思い、母親に言いました。

「かあさん。僕を生んでくれてありがとう」

 ナマケモノの子は今まで出したことのないくらい強い力で母親に抱きつきました。


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