第四章 ロイのドキドキ初デート!?①
俺はその日、中央公園にいた。
先ほど見た時から時計の長針はほとんど動いていない。
今日のために買ったと言っても過言でもない体に馴染まない服が不快である。
それ以上にこの待っている時間がしんどい――――
待ち合わせの時間まではあと20分もある。
少々早く着き過ぎたらしい。
冗談で言ったデートなのに、こんなに緊張するとは自分の度胸のなさに呆れてしまうほどだ。
時計と公園内を交互に確認すること二十数回――――
俺の目には少女の姿が留まった。
おそらくあれはリルムだろう。
彼女は公園内を確認するようにキョロキョロと目配りをしている。
あれじゃまるで不審者だ。
とはいっても彼女のような可愛らしい服装の娘を、誰も不審者だとは思わないだろうが。
「お~い!! リルム」
俺は声を掛ける。リルムはビクッと体を震わせて、こちらに近寄ってくる。
「あ、ろ、ロイちゃん。おはよ……」
明らかに硬い。
いつもならば飛び掛ってくるような元気さを見せるのに、ここ、2、3日はこんな調子だ。
デザートとか聞くだけで飛び上がったりと一緒に居て飽きなかった。
とはいっても表面上は隠し通しているが、
俺もデートのことはかなり意識していたと思う。
クーナに会うたびにそのことで、からかわれた。
とにかくそれも今日のため。俺のデートは始まったのだから。
「えっと……」
リルムの服装を眺める。
いつものコンスタントな服装と比べると一ランク気合の入った服だということが
一目で分かった。だがこの季節に肩出しのワンピースとは……寒くないのであろうか?
「ロイちゃん……どうかした?」
リルムは自分の服装に不安を持ったのか、胸元や裾をチラチラと見回す。
どうやら見つめすぎたようだ。
「あっ、いや。似合うなって思って……見てた」
「そ、そう?」
俺のそんな不恰好な言葉にもリルムは嬉しそうな笑みを浮かべてくれる。
うむ。スタートはいい感じかも。なんて――――
「じゃあ、ここにいても仕方ないし、行こうか」
「は、はい!!」
そんなリルムらしくない態度に俺は思わず笑ってしまう。
「む~。なんで笑ってるの!?」
リルムも不服だったのか文句を言ってくる。
「いやぁ、リルムがリルムじゃないみたいで面白かった」
「なにそれ!!」
リルムハいつもの調子でほっぺを膨らまし、俺を睨んでくる。
「やっぱリルムはそうじゃないとな。いつもの通りでいいんだって」
「そ、そうだよね!!」
リルムは深呼吸をし、笑顔を見せる。どうやら緊張は解けたようだ。
「じゃ、まず劇を見ようか」
「うん」