第三章 混迷? 美男美女コンテスト⑥
「ぬおおおおお!!」
私は部屋に駆け込むと、ベッドに頭を突っ込んで叫んだ。
「デートだよ。ロイちゃんとデート…………」
着るものは?
可愛い下着とか付けていったほうがいいのかな…………?
って、初デートでどこまで行く気なんだ!?
リルムのバカ!?
顔がもの凄く熱い。
鏡を見たら、真っ赤になっているに違いないだろう。
「はぁ、やばい。ものすごいやばい…………」
すごいドキドキしている自分の心音を抑えるように、
私はゴブリンのぬいぐるみを抱きしめた。
「ロイちゃん………」
ドンドン――――ビクッ!?
ノックの音で飛び上がってしまう。
「リルムさん? 大丈夫ですか~? 何か叫んでいたみたいですけど」
その声からしてクーちゃんだろう。
私は扉を開け、彼女を部屋へと招き入れる。
「あっ、リルムさん」
「ふっふっふっ…………」
「え!?」
クーちゃんに思わず抱きつき、そのままベットに押し倒す。
「きゃっ! 何を!?」
「クーちゃ~ん」
彼女のフワフワな髪を撫でながら、身体の感触を楽しむ。
「あっ…………ダメです…………女の子同士なのに…………」
「良いではないか~!!」
「ああん…………許して~!!」
ロイちゃんと似た顔つきのクーちゃんを見てるだけでなんだかドキドキしてしまう。
「で、そろそろ降りてくれません?」
彼女の言葉を聞き、私は手を離した。
「本当にそのうち純潔を奪われそうで怖いです…………」
彼女は服の乱れを直しながら、そんなことを言ってくる。
「いやいや、ついロイちゃんを思い出しちゃって――――」
「えっ? お兄ちゃんを?」
「あっ、いやいや…………」
クーちゃんは不可解な目をして、私のことを見てくる。
「はは~ん。リルムさん。お兄ちゃんと何かありましたね」
「そ、そんなことないよ…………」
何で彼女は分かるの?
エスパーか!? エスパーなのか!?
落ち着け、リルム。ここで焦ったら負けだ!!
「さてはキスでもしました!?」
「き、キ、キ、キス!?」
その単語を聞いただけでもの凄い顔が赤らめいてしまう。
「まさか? 本当に?」
クーちゃんはもの凄い驚いた顔をする。
「そ、そんなわけないよ!!」
「ですよねぇ…………あんな兄ですもん」
彼女は少しがっかりしたような表情を作る。
「あのさ、クーちゃん」
「はい?」
「ロイちゃんの好きな色とか、好きな服装とか分かる?」
「えっ? 何でですか?」
「いや、その…………べんきょーといいますか…………」
「いいですけど………」
その後、リルムの勉強は深夜まで及ぶのであった。