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第三章 混迷? 美男美女コンテスト②

そして、あっという間に一週間が過ぎてしまう。

俺は投票したことなど忘れ、生徒会室の前を通る。

そこには人だかりが出来ていた。


「あっ、ロイちゃんも人気コンテストの出場者を見に来たの?」


そこにいたリルムが話しかけてくる。


「あっ、そうか。それでこんなに人が居るのか」


すっかり忘れてた。

ここで待っていてもこの人数じゃ、(らち)が明かなそうだ。


「じゃ、後で出る人教えてくれよ」

「あっ!?」


俺はリルムにそう頼むと廊下を歩いていく。

有限な昼休みの時間を無駄には出来ないのだ。

図書室でのお昼寝タイムが俺を待っているのだから。



無事昼寝を終え、昼休みの終盤に教室に帰ってくると、

クラスのみんなはコンテストの話題で持ちきりだった。


なんだか、みんな俺の顔をジロジロと見るのだが…………

よだれが付いているのではないかと自分の口元を思わず拭ってしまった。


「なあ、リルム。誰が出るんだ?」


結局、気になってリルムに質問してみた。


「う~ん。いろんな人」

「いやいや、それ、答えになってないから」


彼女はボケたつもりはないのだろうが。


「とりあえずウチのクラスからは3人だね」

クライスが話題へと入ってくる。


「3人…………」


目の前の2人とあと誰なんだろう?

教室の中を見渡すが、ルックス的にいけそうなやつはいない。


「まあ、そのうち分かるよ」


クライスとリルムは不気味な笑いを残し自分の席へとついた。

少しその笑いが気になったが、俺は気にせずに午後の授業を受けるのであった。


そして放課後の前のHR。

なんだか担任の先生のテンションが高い。


「ウチのクラスからコンテストに3人の出場が決まった!!

 そこでひとりひとり、挨拶をしてもらおう」


なるほど、先生にとってもいい骨休めのイベントなのだろうな。


「では、リルムから」

「はい」


リルムは立ち上がり、教壇へとあがる。


「みんなの人気者リルムだよ。今年も1番を狙うから、みんな応援ヨロシク~!!」


彼女の言葉に教室中が湧き上がる。

自分で人気者と言うなんて、恥ずかしくはないのだろうか?


「では次はクライス」

「はい」


リルムと行き違いにクライスが前へと出る。


「みんな、推薦ありがとう。頑張ります」


クライスらしい控えめの挨拶だが、黄色い声援が飛ぶ。

こう見ると、やはり2人とも人気があると改めて認識してしまう。



そして最期のひとり。俺は誰が出てくるのか教室中を見渡した。

そいつは緊張して自分の名前が呼ばれるのを待っているのだろうな。



「では最期のトリ――――」


誰だ? 俺はワクワクしながら先生の言葉を待った。


「さぁ出てこい。ロイ」

「えっ!?」


その言葉を聞いて俺は目を丸くする。

何で俺の名前が呼ばれるんだ!?

何かの間違いだと思い、クラス内を見るが、

誰も立ち上がる様子はない。


逆にみんなが好奇心旺盛な目をして俺を見ているのだ。


「どうした、ロイ」


ああ、そういうことなのか…………

俺は困惑しながらも、前へと出た。


「ロイ~!!」


歓喜の応援が耳に痛い。笑いをこらえてるやつもいるし…………



「何か一言、言うんだ」


そんなことを促す担任だが、何も考えてない。


「ダーリン頑張って!!」


そんな声が正面から聞こえてくる。確認せずともリルムだろう。


「あっ、えっと…………頑張ります」

「それだけ~!?」


クラス中からブーイングが起こる。

いったい俺に何をさせたいんだ。こいつら。



俺は覚悟を決め叫んだ。


「俺に投票したやつ、あとで校舎裏に来い!!」


と。


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