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25、資料⑩


ご先祖さまは、集中力を乱す木師を迷惑に思った。しかし、気が紛れてホッと する気持ちもあった。


「迷惑かな」


「いや、そんな」


「ふむ、ご先祖様は苦しそうに観ている。そんなにイヤなら、観なくとも良いんじゃないかな」


「いや、俺も正直観るのが辛い。出来ればこの先の経過など、知りたくない。しかし、ここに旧人が俺一人だけしか居なくなったというんなら、なぜそうなったのか知りたい。いや、知るべきだと思う。

いや、知る義務があると思う」


ご先祖様は、胸中の苦いものを吐き出すかのように話した。


「ふむ、そんなに思いつめなくとも……」


木師は、ご先祖様が意外と苦労性なんだと認識した。マジメに越したことはないが、自分をそんなに追いつめなくとも……と思う。

それと、義務とは大袈裟だ。修行僧じゃないんだから。


「ん……だったら、ワシが解説しようか。記録映像をダイレクトに観るより、新人の見方、見解なりを付け加える方が、より深く理解できるとおもうが」


木師は、ご先祖様の緩衝材になるならと思った。


「それは、ぜひお願いします」


ご先祖様にとっても、それはありがたい申し出だ。

木師は、手元のリモコンを操作しながら解説を始めた。心なしかご先祖様には、木師が嬉しそうに見える。まるで、水を得た魚のような。まさか、これが木師のストレス解消法じゃないだろうと思うが……。


「ふむ、第二次世界大戦は、大まかにいうと二つの戦局があった。言わずと知れたナチスドイツを中心としたヨーロッパ戦線と、日本を中心とした極東戦線だ。

ほぼ同時期に起こったが、この二つはじゃっかんニュアンスが違っている。

別々の戦争とも言える。

ふむ、大まかにいうなら、ドイツは惨憺(さんたん)たるどうしようもない状態から、ヒトラーというカリスマを得て世界に類例をみない大勃興をみせた。その勢いそのままに、ヒトラーの青写真に沿って侵略戦争を大展開してしまったんだ。

ふむ、ゲルマン民族の血は冷血で獰猛だ。それは、ヒトラーの手足となって戦争を遂行した六人の側近に、その典型をみることが出来る。それらとは、



ヨーゼス・ゲッペルス 

いわずと知れたナチスの宣伝相。プロパガンダを巧みに操作し、ドイツの思想をヒトラーの意向に沿ってまとめる。


ヘルマン・ゲーリング

 堂々たる偉丈夫。第一次世界大戦の空の英雄。空軍司令官。国家元帥。大戦中麻薬中毒患者になる。その為か作戦ミスが多々。部下のせいにする。


ルドルフ・ヘス    

根っからのヒトラー崇拝者。総統代理。ドイツとイギリスの不和を案じ、単機、                                                                                                                                                             独断でイギリスに渡りそのまま捕らえられる。

ヘスはドイツ、イギリス双方から見捨てられる。戦争裁判で終身刑。


ハインリヒ・ヒムラー 

何一つ不自由のない裕福な家庭から生まれた冷血、非情な死刑執行人。ナチス親衛隊隊長。アウシュビッツなどの絶滅収容所をつくる。


カール・デーニッツ  

ドイツの潜水艦Ùボートの指揮官。後の海軍相。緻密かつ大機略を兼ね備えた非常に有能な司令官。ヒトラーの自殺後、一時的に総統の後継者になる。


アルベルト・シュペイアー

ヒトラーの唯一人の友人。ヒトラーより十四歳年下。建築士。祝祭典の演出家。

ヒトラーの信任、情誼も非常に篤かった。後、軍需相としても天才的手腕を発揮する。


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