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2、蘇生②


白っぽい服の人は、どうやら医者らしい。そして、目の前にいる老人は、ここの代表者らしい。それにしても、と男は思った。奇怪な老人だ。老人らしい風貌をしている。白髪(しらが)混じりの薄い頭髪を、後ろに撫でつけている。薄くなった頭頂部分は、素直に後ろになびいているが、側頭部は長さが不揃(ふぞろ)いな上、くせ毛か寝ぐせ知らないがだらしなく乱れている。

それに老人が着ている服が、何とも形容し難い色をしている。緑色っぽく見えなくもない。白がくすんだ色かも、ひょっとしたら色が()せた茶色なのかも知れない。

醤油(しょうゆ)で薄く煮染(にし)めたような色、みたいな気もする。

見た目は、ガサツそうな感じもする。しかし、案外細やかなのかもしれない。ザックバランな、いいかげんな人のような気もする。しかし、意外を厳格なのかもしれない。その老人が、口を開いた。


「ふむ、気分はどうだね」


「正直いって、あまり良くない」


「ふむ、それは良くない。まあ無理せず、そのうち馴れれば良くなるだろうから。ふむ、ところで、ワシはここの長老で木師(ぼくし)と呼ばれている者だ」


「ボクシ……?」


男は、キリスト教かなんかの牧師を連想した。


「ふむ、ボクシと言っても、ボクとは樹木の木だ。シはそのまま師匠の師でいい。

ふむ、さて、あなたは、そもそも、何者か。名は何という」


「……あっ!」


木師という老人に尋ねられて、男は始めて大変な事態に気が付いた。

自分の名を思い出せない。男は自分の名を言えなかった。男は自分に関する記憶が、スッポリと抜け落ちていることに、いま始めて気が付いた。

『何ということだ……』

男は、思わず立ち(くら)んだ。


「大丈夫か」


「俺は……うっ、うう……誰だ……」


男は焦った。


「思い出せないのかね」


「ん……そうだっ!」男の顔にパッと喜色がはしった。


「俺は、冷凍睡眠されていたんだよね。その装置とか機械と一緒に、俺に関する記録とか無かったかな?」


「おお、それが誠に残念ですが、あなたの入っていたカプセルは、何とか機密が保たれて無事だったのですが……。他の付属品は、腐食が激しくて全部ダメになっていました」


白っぽい服を着た医者らしい人が、気の毒そうに答えた。

男の希望は、無残に砕け散った。男は呆然となった。

『何ということだ……』男は遥かな未来に目覚めて、その挙句(あげく)、迷子になってしまったらしい。周りは、みんな怪しげな子供ばかりだ。こんな奴ら、とてもじゃないが相談する気なんかなれない。男は途方(とほう)にくれた。


「ふむ、何もそんなに、心配することないんじゃないかな~。じき、思い出すかもしれんよ」


木師は、気楽なことを言っている。


「ふむ、あなたのことで分かっているというと、ワシらはあなた方の子孫だということだ。あなたは、ワシらのご先祖さまということだ。山羊(やぎ)先生がそう言っていた」


山羊先生とは、白っぽい医者のことらしい。迷子の自分は、こいつらの先祖ということらしい。それにしても、自分の末裔(まつえい)と称するここのヤツラはヤケに小粒だ。

いったい、どうなっているのだろうか。

男は、末裔たちを順繰りと見た。意外や、ゴロゴロと大勢いる。

いかにも年寄りといった者や、小学生そのままといった者、気の強そうな者、弱そうな者、ガンコそうな者、純朴そうな者、みんながみんな物珍しそうにこちらを見ている。

男の視線が木師に戻った。


「あんたら、やけに小さいんだな。どうして何だ。何があったんだ。何か、理由があるんだろ。なぜ何だ」


男の頭に、一瞬、突然変異という言葉が浮かんだ。


「ふむ、なるほど」


木師は一人うなずいた。


去年、ノートパソコンを買い替えました。Windows11です。

いろいろ制度が変わってて、従前通りには行かない事が多々ありました。

試行錯誤は、未だにつづいています。(便利になったところもあります)


去年は、YouTubeばかり見てました。(今もみてます)

中毒になりますね。

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