1,蘇生①
今年から連載をはじめます。
どうぞ、よろしく。
男は五年百近く閉じられていた瞼を、静かに開いた。
周囲に、「おお!」というどよめきが上がった。男の網膜には、暁闇から浮かび上がるようにして霞が薄れ、ゆっくりと映像の焦点が結ばれかけていた。
男は目覚めかけていた。しかし、爽やかな目覚め方ではない。意識は白濁し、視界も夕暮れ時のようなあやふやなものだった。
「ここは、どこだ……」
男は小さく自問した。一瞬、周囲がにわかにザワめいた。
「ここは、ここだ」
意外なことに、返事が返ってきた。
「?……ここは、どこだ」
「ここは、ここだよ」
コダマにしては、ちょっとヘンだ。確かに、誰か応えている。男は目を凝らした。すると、小さな子供が上から覗いている。自分はベットに寝ているようだ。
『はて?……』男には、今の状況が理解出来ないようだった。男は、また聞いてみた。
「ここは、どこだ」
「ここは、ここだよ」
何てバカな子だ。
「大人を呼んで来てくれ」
そう言われても、子供はキョトンとしていた。
しかし、しばらくして「ふおっ、ふおっ、ふおっ」と子供は赤い口を開けて不気味に笑い出した。
「ふむ、ワシはこれでもレッキとした大人なんだが……、子供に見えるかね」
そう言われてみれば、何か様子がヘンだ。子供にしては、ずいぶんとヒネ媚びている。いや、大人だ。
大人というより、年寄りだ。年寄りらしく、薄い頭髪と土色の顔には、シミと皺がチャンと配置されている。何とはなく、干し柿のようだ。
その干し柿が、赤い口を開いた。
「ふむ、目覚めたばかりで、状況が良く飲み込めんらしいな。よろしい、ちゃんと説明しよう。ふむ、ここはね、ここという所なんだ。ここという名前の場所なんだ。
ワシらはね、ここに千人位で住んでいる。そう現在はね、西暦でいうと二六〇〇年代なんだ。解かるかね」
「西暦、二六〇〇年……、ん……、そうか」
男は、俄かに視界が開けて行くのを感じた。男はベットを軋らせて、上半身を起こそうとした。
「うっ……」
「大丈夫かね」
老人は微笑みながら、男を助け起こした。
その時、老人と男の周囲から、「おお~!」という異様などよめきが沸き上がった。
男は始めて自分がいるこの場所に、少なからずの人間が居るのを知った。人が何人いようと、不思議でも何でもない。しかし、ちょっとヘンな違和感があった。
『ガキばかりじゃないか!』と思った。
一瞬、男は自分がどこか南方の発展途上国で寝ていたのでは……、と錯覚した。自分を好奇心いっぱいに、一心に見つめているガキたちは、どいつもこいつも自分の半分位の背丈しかないのだ。そのうち、ここのガキどもを追い散らしてちゃんとした大人が出てくるのでは……と考えた。
しかし、大人はいっこうに現れそうになかった。
男は遥かな未来の時点で、蘇生したらしいことが分かった。だが、このことは、果たして素直に喜んでいいのか、それとも悲しむべきなのか、それとも見るからにこの怪しげなガキどもを、疑ってみるべきなのか……。
男には、皆目見当もつかなかった。
だが、目の前の老人は穏やかに微笑んでいる。部屋の内にいる子供たちも、何も言わないが解かる。好意的な雰囲気がある。取りあえずは、歓迎されているらしい。
「ふむ、話しをしてもいいかな」
老人は傍らにいる白っぽい服を着た人に、許可を求めるように聞いた。
良いも悪いも、すでに会話は始められている。
「おお、いいですとも。ただし、こ難しい話しはしないで下さい。それと、あまり長くならないように
本格派を目指しています。
本格派とは、何ぞや?。読めば解かります。(上から目線っぽくてごめんなさい。)




