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格子窓から

ここは江戸の日本橋。


そこには一匹の狐がいた。


その名はおさき。


おさきは友という光を見つけた。


そんなおさきに敵がやってくる。

 おくめは外のざわついた声で目覚めた。


「え、もう?」


 おくめはあわただしい様子で格子窓から外を見た。向かいの旅籠、秋乃屋の前には人だかりができていた。

秋乃屋に人だかりができていることと、もう多くの人が起きている時間だということに、おくめは驚いた。


「何事?」


おくめは寝巻のまま隣の部屋に入った。そこにはぐっすりと寝ているおさきの姿があった。


「あら、今はそんなに遅い時間ではないのかしら」


おくめはふぅ、とため息をついた。確かに遅刻していたら、女将さんが起こしてくるはずだもの。おくめはそう思った。


「多分あれは夢だったんだわ。こんな時間にあんな人だかりができること、ないもの。全く、私ったら寝ぼけてるんだから。」


しかし、また人の声が聞こえてきた。おくめは顔をしかめながらべているおさきの横を通って格子窓から外を見た。やはり、秋乃屋の前に人だかりができていた。


「なんなの?」


 おくめは目の前にある奇妙な光景にあんぐりと口を開けていた。事件でないといいな、とおくみは心の中で願った。

しかし、

「事件だよ。良くも悪くもね」

と言う声がおくめの後ろから聞こえた。おくめは声もでないほど驚き、ふりむいた。


そこにはさっきまでぐっすりと寝ていたおさきがいた。


「おさき!!」


 おくめは今更ながら、勝手に部屋に入って窓から外をのぞいてしまったことを恥じた。おさきはおくめの隣に座り、腕を窓の下粋に組んで置いた。


「ほら、みんな、笑ってる。悪い事件ではないさ。」


おさきはおくめを見て、笑いかけた。おくめはそれを見ておさきと同じ体せいになり、

「そうだね。」

と微笑んだ。おさきはその姿をじっと見ていた。それに気づいたおくめも、おさきの目をじっと見た。そして、笑い合った。


「でも、何故こんな早い時間に人だかりができたのか、ていう謎は解けてないよね」


おくめはおさきから目をそらして言ったおさきは、きょとんとした顔をしていた。


「今はもう、とっくに巳の刻に入ってる」


おさきは真顔で、はっきりと言った。おくめは、あたかも時間が止まったかのように動かなかった。


「え…。」


おくめは呆然としていた。ちらっと外を見ると、太陽は南にあった。


「え、ええ〜!」


おくめは秋乃屋の人だかりをも振り向かせるような大きな声で叫んだ。

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