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月明かり

ここは、江戸時代の日本橋。


そこにはおさきという可愛らしい中居さんがいた。


おさきは普通の「ヒト」ではなかった。


秘密を持ちながら暮らす、おさき。


そのおさきに、新たな転機が訪れる。


 おさきは月明かりで目が覚めた。月が雲の影から出てきたのだ。おさきはすぐさま布団から出て廊下に出た。隣の部屋からおくめの寝息が聞こえた。おききは音を立てないよう、すり足でろう下を歩いた。階段の下からは女将と客が話している声が聞こえた。


「ここらへんには狐がよく出るね。まあ、だまされないように気いつけや。うちの近くの宿場町は狸にだまされて大変そうだったよ。」

「へえ。そうでございますか。気をつけやす。」


  おさきは静かに階段を降りながり歯を食いしばった。「狐も悪いものばかりではないのに。」とおさきは思った。


旅籠から外に出ると、おさきは自分も知らない人の顔に化けた。綺麗な三十路ほどの女性だ。おさきに似ていた。


そして番人さんに、

「今日は泊めてくださって有難うございました。」

 と言い、旅籠の隣にある団子屋でみたらし団子を買った。だが、おさきはそのみたらし団子を食べずに手に持ったまま、走っていった。少したれが垂れている。


 おさきは近くの雑木林の中に入った。そのとたん、おさきは狐になった。その狐の背中にはみたらし団子が乗っていた。とても奇妙な光景だ。その狐が「きゃん」と鳴くと他の狐、狸が寄ってきた。


 そしておさきだった狐がみんなの頭に葉っぱを乗せた。またまた奇妙な光景だ。すると、狐たちは人に早変わりした。黄色の狐は巫女に二匹の狸は三十路ほどの男と若い美男になったまた、白狐はおさきとなった。おさきが言った。


「四匹でこの団子を分けようじゃないか。」


 人の見た目では一番若いおさきが上からの物言いをしたが、他のものたちは当然のように

「はい、有難うございやす。」

  と言い、一匹一つぶの団子を食べた。


「うまいですね!これはどこの団子で?」


三十路ほどの男の姿をした男が言った。おさきは、

「市川屋だ。私の旅籠の隣にある。」

 と言った。

 

 すると、黄色の狐だった、巫女の姿をした女が

「そこ、行ったことあります!だけど、前はこんなに美味しくなかったような…。」

と言い、不思議そうな顔をした。巫女の髪留めが同時に揺れる。狸だった者たちも首をかしげた。


「気のせいじゃあないか?」


おさきの正面にいた、若い美男に化けた狸が言った。おさきもそう思い、

「そうだな。」

と落ち着いた声で言った。だが、みんなは難しい顔をしたままだった。


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