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プロローグ
ここは、江戸時代の日本橋。
そこにはおさきという可愛らしい中居さんがいた。
おさきは普通の「ヒト」ではなかった。
秘密を持ちながら暮らす、おさき。
そのおさきに、新たな転機が訪れる。
ここは日本橋にある旅籠。そこには一匹の着物を着た狐がいた。
「ガタッ」
女将は部屋の襖を開けた。その中には一人の美しい若い女がいた。
「なにをしているのかね?おさき。」
女将はねずみ色の着物をきていた。少し目がつり上がっていた。
「あの、えー、その、化粧をしていました。」
おさきはあわてて、近くにあったおしろいを手に取った。女将の目はつり上がったままだったが、怒る様子はないことに気づいた。
「まあ、すぐに来るんだよ」
そう言って、女将は襖をぴしゃりと閉めた。
おさきは「ふうっ」と息をついた。すると隣の部屋から女将のどなり声が開こえた。
「お前はいつも仕事をさぼってばかりじゃないか!!」
隣の部屋にはおくめというおさきと同期の中居さんがいた。おくめは有能な中居さんだった。仕事をさぼったことなどなかった。だが、女将のどなり声はとだえない。そう、おさきは女将に甘やかれているのだ。なぜなら、おさきが美貌の持ち主だったからだ。おさきはすれ違った人がふり向くほど美しかった。どうしてそんなにも美しいのかって? それはおさきが美しい狐だからだ。




