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エピローグ
——それから数年後。
記憶共有技術は、人類の新しいコミュニケーション手段として定着した。
もちろん、問題もあった。プライバシー、依存症、悪用。
でも、人類はいつもそうやって、新しい技術と向き合ってきた。
律とカノンは、今も音楽を作り続けている。
47%の共有率は変わらない。永久PINGも、もちろん続いている。
時々、若い人たちから「どうすれば、そんな関係になれますか?」と聞かれる。
二人の答えはいつも同じだ。
「技術は道具です。大切なのは、心」
「愛があれば、どんな形でも繋がれます」
そして、二人は微笑む。
同じタイミングで、同じように。
まるで、一つの存在が二つの体を持っているかのように。
でも、それでいい。
それが、二人が選んだ生き方だから。
——完——




