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黒髪の公爵達  作者:
22/26

落ちた砦で

 セシル達が落ちた砦にたどり着くと砦は下級のデーモン達の巣窟と化していた。その砦の様子を見たアルバ侯爵の騎士とマラガン公爵の兵士達は動揺した。セシル達はどう砦をきり抜けるか考えたがよい案は思いつかなかった。


 「どうします?」


 「そうね、、、。」 


 セシル達が頭を悩ませていると突然、反対側からやって来たルヴェーラとバルアが目の前に現れた。


 「ルヴェーラ!!バルア!」


 「ご無事で何よりです。セシルさん。アルマの姿が見えませんが一緒ではないのですか?」


 セシルはアルマは深い傷を負っていて治療が必要だった為、アルバ侯爵に頼み兵士のジャンと王都に残してきた事を伝えた。


 「そうですか、、、分かりました。今はこの砦の事を考えましょう」


 「いい考えがあるの?」


 「そうですね、、、、ここに来る前に砦の内部の様子を少し見たのですが鎖で縛られていましたがアイアンゴーレムがまだ動ける状態でした。」


 「それで?」


 「ルシアス達とマラガン公爵配下の騎士団が反対側に待機しています。シンビス殿下とアルバ侯爵の令嬢はここで騎士と兵士の方達と待機してもらってセシルさん、私と一緒にアイアンゴーレムを解放して内部を混乱させましょう。バルアはアイアンゴーレムを解放したら私が魔法の合図を送るのでルシアスに騎士団と砦を攻めるように伝えてください。」


 「承知した。ルヴェーラよ」

 

 ルヴェーラは自身とセシルに透明化する魔法を使うと砦の内部に入って行く。砦の地下に行くとアイアンゴーレムが沢山の鎖でしばりつけられていた。

 

 「撤退するときにはよく戦ってくれましたね。また力を借してください。」


 鎖をセシルが聖剣で断つとアイアンゴーレムが再び動き出して地下から上に上って行く。途中で出会った下級のデーモン達はアイアンゴレームの一撃を喰らって次々と倒れていく。


 アイアンゴーレムが砦の内部で暴れて注意を引く中ルヴェーラは空に合図の魔法を放った。合図を見たルシアス達は騎士団と共に砦になだれ込んで行った。


 不意を突いたルシアス達はデーモン達を次々と倒していった。そんな中キマイラ三体がルシアスとアヤそして騎士達の前に姿を現した。


 「左にいるキマイラの相手は俺がする。アヤ、君は騎士達と協力して2体のキマイラを相手に出来るか?」


 「それならば一番右にいるキマイラとやらの相手は私にまかせておけルシアス。騎士団の方々は真ん中のキマイラの相手を。」


 ルシアスが左のキマイラの注意を引くとアヤは右にいるキマイラに目にも止まらない速さで切り込みに行く。中央にいるキマイラは騎士達に襲い掛かる。


 キマイラの頭の一つが魔法を唱えようとした時アヤは遠間から刀を抜刀して振り払った。


 「イスルギ流剣術奥義一閃!!」


 魔法を使おうとした頭の一つ、山羊の頭が切り裂かれた宙を舞った。キマイラは怯まず今度は爪で切りさこうととびかかって来るとアヤ左に避けると刀を上段に構えた。


 「イスルギ流剣術奥義破岩剣!!」


 上段に構えた刀を素早く力を込めて振り下ろすと獅子の頭の部分は二つに割れる。二つの頭を失ったキマイラの一体は崩れ落ちた。    

 その頃左のキマイラを相手にしていたルシアスにファイアーボールの魔法が放たれたルシアス女神アイリスから授かった盾でファイアーボールを防ぐとキマイラはルシアス目掛けて突進してきた。

 ルシアスはアイリスに授かった剣を手に突進してきたキマイラの鋭い爪の攻撃をかわすと地面に叩きつけらえたキマイラの前足を切り裂いた。

 キマイラは叫び声をあげると今度は噛みつこうとしたが前足を失いうまくバランスの取れないキマイラの攻撃を難なく交わすとルシアスはもう片方の前足を切り落とす、身動き出来なくなったキマイラにルシアスは獅子の頭と山羊の頭を剣で突き刺していった。

 アヤとルシアスがキマイラを倒した頃、騎士達は何人か負傷したが何とかキマイラを倒していた。負傷した騎士達をマナが癒していくキマイラ達を全て倒してから少し経つとアイアンゴレームと共にルヴェーラとセシルがやって来る。


 「セシルさん!無事で何よりです、アルマは?」

 

 「大怪我をしてるわ。王都のアルバ侯爵に預けて治療してもらってる。」


 「そうですか、、、、ルヴェーラその鉄の大人形は?」


 「私が作った頼りになるゴレームです、砦の魔物達はほぼうち滅ぼしたようですね。アルバ侯爵が城の外から牢屋に入ればラファールに化けた魔物の所まで案内してくれます。砦の後始末とシンビス殿下とアリス様は騎士団の方々に任せて私達は王都に向かいましょう。」


 「ああ!アルマを救出してこの戦いを終わらせよう!」


 ルシアス達は砦とシンビスとアリスを騎士達にまかせると休むことなく王都へと向かった。

 


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