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黒髪の公爵達  作者: atias
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アルバ候爵軍との戦い

 アルバ侯爵軍に突如侵攻されたクレメンテの治める港街の兵力は騎士と衛兵を合わせて300名ほどだった。対する侵攻して来たアルバ侯爵軍の数は定かではないがアルバ侯爵が領内の動員できる全ての兵士達を投入したのならばその数は数千名ほどにもなると予測されていた。

 まず勝ち目のないと分かっていた戦いにクレメンテは動員出来る全ての兵力を港街への通り道である森へと配置して娘であるリータが街が占領され時に脱出できるようにと数名の騎士と衛兵を残して自身も戦線に出ることにした。

 ルシアス達はマナと幼竜バルア、そしてマナとリータの護衛としてアルマをリータ達と共に行動させて他の仲間と共に自身達も前線に出ることをクレメンテに申し出る。マナとアルマは戦いに赴くルシアス達の無事を祈りクレメンテはルシアス達に礼を言って共にアルバ侯爵軍を迎え撃つ為に港街の外の森へと向かう


 「ルシアス、皆、どうかご無事で。」


 「皆、マナとクレメンテさんの娘の事は任せて!」


 「ルシアスよ、我が身は小さくなれどもこの者たちの事は任せよ。」


 マナとアルマと幼竜バルアを港街に残して森へと入りクレメンテの配下の騎士や衛兵達と共にルシアス達は身を潜ませてアルバ侯爵軍が森へ入りを突き抜けるまでまった。暫く森でその身を隠しているとアルバ侯爵の兵士達が森へと侵入してくる。

 森を出るギリギリまでクレメンテ達とルシアス達は待った。森に入って来たアルバ侯爵の軍は想像していた数より遥かに少なくクレメンテはタイミングを見て角笛を鳴らすと角笛の音を聞いたクレメンテの衛兵と騎士達そしてルシアス達はアルバ侯爵軍に切りかかっていく。

 

 「クレメンテの兵だ!」


 「応戦しろ!!」


 戦いが始まるとルシアス達とクレメンテ達は勇猛果敢に戦いアルバ侯爵軍の兵士達を次々に切り伏せて行った。次々に敵を切り伏せていくルシアスとセシルにアルバ侯爵の兵士達は群がっていく、その兵士達目掛けてルヴェーラはファイアーボールの呪文を唱えると大きな火玉がアルバ侯爵の兵士達に向かい飛んでいき固まっていた兵士達は炎に包まれて倒れていく。


 「魔法使いがいるぞ!?」


 ファイアーボールの魔法から生き残った兵士二人はルヴェーラに切りかかろうとする、それを見たラルフが素早く兵士二人の頭部へ矢を射ると眉間を貫かれた兵士二人はその場に倒れた。ラルフはルヴェーラのすぐ近くまで来てルヴェーラの身を守るためショートソードを手にする。


 「助かりますよ、ラルフ。」


 乱戦のなか敵を切り伏せていくルシアスの前に一人の重装した大男が立ちはだかる、両手に大きなハンマーを持っていた、大男は手にしたハンマーを力任せにルシアスに振りろす、ルシアスは降り降ろされたハンマーを後ろに飛んでかわす。


 (鎧の力があるけど、真正面からは受けない方がいいな)


 そう考えてルシアスは大男のハンマーかわし続けた。


 「どうした!!逃げるばかりじゃ俺は倒せないぞ!小僧!!」


 ルシアスは大男の言葉を気にすることなくかわし続けると、業を煮やした大男はルシアスの頭を叩き潰すようハンマーを振り上げる、その瞬間ルシアスは恐ろしい速さで前に突き進んで大男の首に強烈な突きを見舞った。首を貫かれた大男その場に倒れ動かなくなる。

 ルシアスが大男を倒したころアルバ侯爵軍が角笛を鳴らし撤退をして行った、撤退して行ったアルバ侯爵軍を見たクレメンテの衛兵や騎士達は勝利の歓声をあげた。勝利したクレメンテ達とルシアス達は港街へと戻っていく。その途中、港街から馬に乗った衛兵がクレメンテの元へとやって来た。

 

 「男爵様!!大変です!」


 「どうした?何があった?」


 「サヴィーニ伯爵の軍勢に街を占領されました!!」


 「なんだと!?リータ達は?!」


 「衛兵達と騎士達と共に街から脱出して東の中立の立場をとっているシアーノ伯爵領内の街へと向かわれました。」


 「ひと先ずは無事なのか!?」


 「混乱の中でしたので確かな事は分かりません。」


 「クレメンテ様、我々はいかがいたしましょう?」


 「、、、、、。」

  

 「クレメンテ様、遠く離れた場所でもルシアスの友である幼竜バルアからリータ様達の事は聞けます。今は何処かに逃れましょう。」


 ルヴェーラの進言にクレメンテは心を決めた。


 「アルバ侯爵とサヴィーニ伯爵は手を結んでいるだろう。ひとまず森の奥へと身を隠すよう生き残った衛兵と騎士達に伝えよ!」


 クレメンテの命と共にルシアス達はマナ達の無事を祈りつつひとまず衛兵と騎士達と共に森の奥深くへと身を隠すため進んでいった。

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