死者の軍勢とスケルトンの侵攻
ルシアン達が紫国に向かってから2日が立っていた。シアーノ伯爵の軍はサヴィーニ伯爵の軍からクレメンテの港街を解放していた。クレメンテ配下の騎士達の中にはサヴィーニ伯爵領内へ追撃して完全なる勝利を呼ぶ声が大半だったが。シアーノ伯爵は自身の兵士の安全の為、紫国の援軍が来るまで港街で待機することにした。
それから2日後、サヴィーニ伯爵領内から難民がクレメンテの治める港街へ流れ着いてきた。難民を受け入れてその中の貴族にシアーノ伯爵とクレメンテとシスイは事情を聞くと貴族はサヴィーニ伯爵は悪魔と契約を結んで死者達を蘇らせて自身の領民達だった者を兵力にして港街に向かっていると答えた。
話を聞いたシアーノ伯爵とクレメンテは難民と港街の民を後方の同盟軍の元に向かわせると自身達は死者の軍勢を止めるために港街に残留すること事を決めた。情報を伝えた貴族は死者の頭を破壊するか首を跳ねのが有効であること、噛まれた者はやがて死者となって襲い掛かってくるため嚙まれた者をどうするかが非常に重要なことを言い残して難民と共に港街を後にした。
それから1日経つと死者達がゆっくりと港街に近づいてきて戦いが始まった。
難民の貴族から死者達の対応を聞いていた。犠牲者を出しながらもシアーノ伯爵軍は死者達を圧倒していった。あらかたの死者達を倒したシアーノ伯爵軍は勝利を予感した。
「あらかた片付いたな。カルロよ。」
「ああ、クレメンテよ、ようやく一息つけそうだな。」
「お二人とも見事な剣の腕前。」
「貴殿ほどではない。シスイ殿」
「伯爵様!」
「どうした?」
「今度は武器を手にした骸骨がやってきます!後方にはサヴィーニ伯爵と思われる者の姿もあります!」
「応戦の態勢を整えろ!!」
死者達を駆逐した港街に武器を持った骸骨兵達が進軍してきた。動きの遅い死者達と違い骸骨兵達は機敏な動きで攻撃を繰り出し攻撃を受けても全く怯まなかった。骸骨兵を相手にシアーノ伯爵軍は大きな被害をだしていった。乱戦の中シアーノ伯爵に骸骨兵の槍がシアーノ伯爵を貫いた。
「グっ!!」
近くで戦っていったクレメンテはその様子に気づいた。
「カルロ!?」
シアーノ伯爵はその場に倒れると、クレメンテはシアーノ伯爵を貫いた骸骨兵に思い切りグレートソードを叩きこんで粉砕した、そしてクレメンテはシアーノ伯爵の傍に駆け寄ると抱き起こして声を掛けた。
「大丈夫か!?カルロ!」
「、、クレメンテよ、、、、、後を頼む、、、、」
シアーノ伯爵はそう呟くと静かに目を閉じた。
「目を覚ませ!!カルロ!!」
クレメンテは何度も話しかけるがシアーノ伯爵は2度と動くことはなかった。多大な被害を出しながらもシアーノ伯爵軍は骸骨兵達を倒していった。その様子を見た街外れにいたサヴィーニ伯爵は数名の騎士と骸骨兵を連れて再び港街へ攻め込んでいった。クレメンテ達が全滅を覚悟した時だった。海から大きな豪音が聞こえると港街に近づいてきた骸骨兵達が吹き飛ばされていった。
「援軍だー!!紫国からの援軍が来たぞー!!」
「おおーーッ!!」
骸骨兵達は次々に紫国の船やルシアスの乗る船の砲弾を浴びて吹き飛んでいった。紫国の船が砲弾を放ってる間にアヤとルシアスとシデン乗せたラーナドゥール王国の船が港街に着く。船から降りたルシアス達は港街に入ろうとした骸骨兵達を相手に切り込んでいった。ルシアス達とゲンオウの臣下の精兵達は手にした刀で骸骨兵達と渡り合った。紫国から来た援軍にシアーノ伯爵軍も士気があがり骸骨兵達を圧倒していった。サヴィーニ伯爵は自身の劣勢を見ると逃げ出そうとしていた、その様子を見たクレメンテは走ってサヴィーニ伯爵の前に立った。
「どこへ行くつもりだ!!サヴィーニッ!!」
「頼む!見逃してくれ!!」
「自分の領民すら犠牲にする貴様の事は許せぬ!!カルロの仇でもある!!覚悟するがいい!!」
クレメンテはその場か逃げようとするサヴィーニ伯爵を後ろから頭に目掛けて渾身の力でグレートソードを振るった。サヴィーニ伯爵の頭は真っ二つに割れてそのまま倒れた。
戦いが終わるアヤはシアーノ伯爵の亡骸を見て呆然と見ていた。そんなアヤにシスイとルシアスはかける言葉が出てこなかった
「姫様、、、、、、」
「、、、、、、、間に合わなかった。叔母様とサヤに何て言えばいい、、、、、、。」
「、、、、、アヤ」
「ごめんなさい、、、、カルロ叔父様」
そう言うアヤの目から涙がこぼれた。そしてアヤは暫くの間その場に立って幼いサヤとシアーノ伯爵と過ごした時の事を思い出していた。それから夜が来るとシアーノ伯爵の亡骸は丁重に葬られた。アヤはシアーノ伯爵の眠る棺に花を添えるとシアーノ伯爵に誓った。
(カルロ叔父様、必ずこの戦を終わらせます。そして貴方の領民と叔母様、サヤが安心して暮らせるようにいたします。安らかに。)